レシーブの応用
レシーブの苦手な人に[バドビギナーのミニ知識]の中で
レシーブの 基本 種類 練習についてみてきた。
続いて、その応用編としてレシーブの成功率を上げるために必要な「予測力」「注意力」をみていこう。基本がある程度できたら、
レシーブを単なる守備のショットととらえるのではなく、攻撃につなげるためのショットとしてスキルアップを図っていこう。
(1)ではレシーブ=守備 の考えを変える、レシーブの成功率を上げるための"予測力"
について解説してきた。
監督やコーチが試合会場で「相手をよく見て、もっと予測しながら動くように」などのアドバイスをすることがあるが、経験の浅い選手にはあまり有効ではない。
これは、前回述べた「予測する場合の脳の働き(ワーキングメモリ(短期記憶))」が初級者では変換する処理がスムーズでないので、なかなか予測につながらない。
また、予測のメカニズムは「イメージ」によって予測する運動システムがある。
この運動システムは、自分ができるプレーは予測可能だが、自分ができないプレーは脳内のイメージにつなげられないので、予測ができない。
そのため、自分自身の技術やプレーの幅を広げることが重要だ。さまざまなショット、打ち方を練習することで自身のイメージする力が大きくなり、予測の向上につながることを
意識しておこう。
●「注意の分散」を予測力に変えよう!
シングルスなら自分と対戦相手だけだが、ダブルスでは自分とペアの選手、そして対戦相手の二人の動きやポジションに注意を向ける必要がある。
レベルが上がれば上がるほど、この注意力が高くなり、試合中にさまざまなことに気づいたり、考えたりしながらプレーをすることができる。
例えば、上級者と初級者の試合をイメージしてみよう。仮に上級者がヘアピンを打とうとした場合、上級者の頭の中には、相手のポジションや打ち方、力加減、相手のネット前で
打つショットの傾向など、さまざまなことに注意を向けながらヘアピンを打つ。ヘアピンを打つ技術も不安はないので、意識はヘアピンの質よりも、次の展開に注意を
向けることができるわけだ。
一方、初級者はヘアピンを打つ技術に不安があるので、ヘアピンが少しでも浮かないように意識を集中させる。それはつまり、ヘアピンを打った後の展開までは注意を
向けられないことを意味している。「注意の分散」ができないと、結果的に相手が打つシャトルを追いかけるラリーになってしまい、
主導権を握られて試合が終わってしまう。
同じレベルの選手同士の試合でも、注意の分散ができる選手の方が、最終的に試合を有利に進めることができる。なぜなら、"注意力は予測力にもつながっているから。"
注意力がある選手は、相手の情報や状況をたくさん脳内にインプットできる。それを無意識に予測に変換していくので、先読みしたプレーや相手の変化を察知した対応ができる。
準備ができているので、メンタル的にも余裕を持った状態でプレーすることができる。
逆に、注意の方向が一つに偏る選手は、自分のプレーに精一杯になってしまい、なかなか相手の動きや振り方、癖などに気づかない。視覚的にも得られる情報が少ないので、
次の予測ができないまま試合を終えてしまう。
●「注意のバランス力を高める」練習に取り組もう!
注意をうまく分散させるには、複数の課題を同時に取り組むことの習慣が必要だ。例えば、縄跳びをしながら暗算するとか、一輪車に乗りながらお手玉ができる人は、
注意の分散が上手い人だ。同時に別の課題に取り組むと、普通はどちらのパフォーマンスも低下するが、両方できるということは、注意を向ける
バランスがうまい証拠だ。バドミントンの先ほどの例では、ヘアピンの質もしっかり保ちながら次のブレーの準備ができるということだ。
[注意を分散させる練習]
練習者はドライブを打ち合う。補助者は練習者が打った後のタイミングでシャトルを手投げする。
練習者はドライブを継続しながら、手投げのシャトルを空きスペースに打ち返す。
※ 左利き選手が有利な理由の一つに、左利き選手は多くの右利きの選手と練習しているのに対して、右利き選手は左利きの選手と練習する機会が少ないので、慣れ(
=軌道等の予測)ていないことも影響している。
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