☆ケガをしにくい体づくり[膝痛編]

 スピーディーかつ力強い動きが求められるバドミントンは、身体への負担が大きいスポーツである。長年競技を続けている選手には、腰やヒザ、肩に痛みを感じ、 慢性的なケガの悩みを持つプレーヤーも多い。今回は膝痛についてみていこう。
まず、ヒザの痛みが起こる原因を知ろう!
[CHECK 1] 急激なストップ&ターンで起こる大ケガ
 バドミントンで起こるヒザのケガで多いのが前十字靱帯断裂やジャンパー膝、オスグット病などがある。激しいフットワークを急に脚で止める動作の繰り返しによる 負荷やストレスが、これらのケガを引き起こす原因だ。
 他の競技でもよく耳にする前十字靱帯断裂は、かなり深刻なケガだ。ヒザの中にある前十字靱帯は、ヒザの前後のぐらつきやねじけを制限する 大切な靱帯。それが断裂すると、ヒザのズレやねじれをコントロールすることができず、ガクっと崩れる、いわゆる「膝くずれ」を起こす。
 完全断裂の場合は、一般的には手術による治療が必要で、競技に復帰するには6〜9ヶ月を要することになる。バドミントンは人と接触するコンタクトスポーツではないが、 一人での急激なストップやターンなどをした時にも生じる。
[CHECK 2] 太もも前面への負荷が慢性的な痛みに
 ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)は、ジャンプやダッシュ、ストップなどの繰り返し動作により、ヒザのお皿(膝蓋骨)の下にある膝蓋靱帯に引っ張る力が加わって起こる疾患だ。
膝蓋靱帯は太もも前面の大腿四頭筋からつながっており、痛みの原因の多くは、大腿四頭筋の使いすぎによる伸張ストレスで、 突発的に起こる靱帯断裂とは異なり、ストレスの蓄積が重なって起こる痛みだ。
 中学・高校生などの成長期では、膝蓋靱帯の付着部の骨(頸骨粗面)が突出するオスグッド病(オスグッドシュラッダー病)もあるが、原因となるストレスはジャンパー膝と同じだ。 大腿四頭筋からの伸張ストレスにより付着部に炎症が起きる。骨の成長期に引っ張られるので、付着部が突出してくるのが特徴だ。
《注》前十字靱帯断裂 オスグッド病も参考に!


ケガ予防のキーワードは理想的な踏み込み方!
 ヒザへの繰り返しの負荷がケガの要因となるため、予防策して、脚の踏み込み方を見直す必要がある。
前十字靱帯断裂のケガが起こりやすい危険な姿勢として、knee in toe out(ニーイン・トゥーアウト)がある。
これは、「ヒザが内向き、つま先が外向き」という意味で、この姿勢でランジやストップ、踏ん張り動作のような強いストレスが加わると前十字靱帯断裂につながりやすいと いわれている。予防しては、踏み込む際は常にヒザとつま先が同じ方向を向いて着地するよう心がけよう。!

 また、女子選手は骨盤の広さなどの身体の構造上、knee in toe out の姿勢になりやすかったり、跳んだ後の着地でヒザが内側に入りやすい傾向がある。
統計上、男子選手よりも女子選手の受傷率が高いので、特に踏み込みには注意を払おう。
 前十字靱帯断裂は治療に半年以上の時間がかかるため、その重大さからサッカーやバスケットボールなどの国際競技団体が、前十字靱帯損傷予防プログラムを公開している。
この予防プログラムは、基本的な考え方はヒザとつま先が同じ方向を向いた状態での動作の習得なので、ぜひ予防のために参考に して取り組みたい内容だ。

太もも前面、尻まわりの筋肉をバランスよく使う!
 ジャンパー膝、オスグット病が起こる共通の理由は、太もも前面(大腿四頭筋)の使いすぎ、または太もも前面のみにストレスがかかるような姿勢や動きだ。
病院などでは、治療や予防として太もも前面の柔軟性を高めるストレッチをするように言われるが、それと同時に、太もも前面の使い過ぎとなる 原因を改善する必要がある。
 太もも前面の力だけでランジの安定性をつくろうとすると痛みの原因となるので、ネット前に踏み込むときには、太もも前面の筋肉と尻まわりの 筋肉の両方をバランスよく使い、姿勢を安定させることが理想。ヒザが痛くなる人は、太もも裏のハムストリングスや大殿筋の収縮をうまく使えず、大腿四頭筋 に頼って姿勢をキープしていることが多い。

▽ヒザ痛の予防-2-に続く

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