以前、原毛不足が引き起こすシャトルコック不足として、話題にしたことがある。
内容には重複する部分もあるが、今一度「シャトルコック不足」と「それに伴う価格の高騰」から、もう一度みてみよう。
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☆人工素材「合成シャトル」の開発が困難!?
★北京ダックの副産物として
 シャトルコックとも呼ばれるのは、かつてニワトリ(コック)の羽根を使っていた名残だという。現在はガチョウとアヒルの羽根が使われているが、 高性能で耐久性も高いのはガチョウの羽根。そのため トップレベルの大会で使用されるのはガチョウの羽根で作られたシャトルだ。
 ガチョウの羽根は個体差が少なく安定している。それに比べてアヒルの羽根は個体差が大きく、ガチョウに比べるとやわらかく、 ひとつひとつのシャトルの飛び方に差があるという。
 1個のシャトルは、16枚の羽根から出来ている。1羽のガチョウから採れる羽根は14枚だから、最低でも1個作るのに2羽が必要となる。
そのガチョウの羽根の最大の供給源は中国。北京ダックに代表される料理で消費されたガチョウの羽根が、副産物としてバドミントンの羽根に使われている。
★北京ダックの副産物として
 ところが、中国人の食文化の変化によって、ガチョウの消費量が大幅に減少してきた。その傾向はすでに10年以上前から明らかで、様々な影響が指摘されてきた。
 『大きなインパクトをもたらしているのは、中国の食卓事情の変化だ。中国は現在、羽毛原料となるカモを約20億羽、ガチョウを約2億羽を飼育する、 世界でも圧倒的な羽毛原料供給国である。ただ、羽毛の原料は、食用のカモやガチョウの肉の副産物で、産出量は常に食用の需要に左右されるという。
 ところが、近年、中国人の肉の嗜好が「柔らかくて旨味のある牛肉や豚肉にシフトしている」ため、飼育数が激減しているという。 中でも高級羽毛布団に使用されるガチョウは、年率30〜50%減を記録し、大幅に飼育量が減ると見込まれている。』
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 バドミントン用具を供給するメーカー各社は懸命に水鳥の羽根を確保し続けてきた。一方で、「いずれ深刻な不足が生じるのは明らかだ。 そうなった時、水鳥の羽根に代わる合成シャトルを作っておかなければ、バドミントン競技に深刻な影響を及ぼしてしまう」ということは言われてきた。
 現在のような繊細なタッチ、硬軟織り交ぜた深みのある攻防が展開できなくなるのではないか、パワー一辺倒になる恐れや、 スピードと対極にある独特の浮遊感が失われ、バドミントンの優雅さが消失するのではないかといった様々な懸念が選手や指導者、愛好者の間に広がっていた。
 そうした中でも、メーカーの返事は「合成シャトルの開発は難しい」「まだ最高峰の競技レベルで使える段階には至っていない」という状況だ。
それほど、自然素材と同様の打感、飛行性能を再現するのは難しいのだろう。
★合成シャトルの開発が難しい理由
 シャトルは、打った瞬間まず「すぼむ」。すぼむことで勢いがつき、鋭く飛び出す。トップ選手の初速は時速400kmともいわれる。羽根が元に戻ろうとするから、 やがて減速する。そして回転を始める。シャトルは右回転するように羽根が植えられているからだ。相手近くになると時速50kmから60km程度に減速している。
 わずかな間にこれだけの変化を体現し、絶妙な空気感を醸しだす「天然素材の水鳥」、これを人工的に生み出すのは至難の業だと理解できる。
 合成シャトルが・・・・・
 もし、「まったく新しい合成シャトル独自の性能を追究するのはどうか」という発想転換もできるが、そうなれば、これまでの上位者が不利になり、 ずっと勝てなかった選手が合成シャトルのおかげで覇者になるといった現象が起きる可能性がある。つまり、従来のバドミントン技術を否定すること にもなりかねない。
 できるならば、シャトルの変化でバドミントン競技の本質が変わることは避けたいというのが、用具を提供するメーカー、技術者たちの矜持だろう。
 水鳥不足が深刻化する裏で、世界的なバドミントン人気が上昇しているという。シャトルの いっそうの供給拡大が求められ、 深刻なシャトル不足に陥ることが、せっかくの人気に水を差さないためにも高品質の合成シャトルの開発が急務というわけだ。
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 そんな中、つい先日3月3日、シャトル販売でトップシェアを持つYONEXからニュース・リリースが発表された。
報道資料によると、『高い競技性能と素材革新を両立したバドミントン競技用シンセティックフェザーシャトルコック「CROSSWIND 70(クロスウィンド 70)」を一部大会より使用開始します。 』と記されている。
 この製品は、すでに日本バドミントン協会の検定審査合格品になっているという。
 いよいよ、合成シャトルが世界トップレベルの大会でも使用される新時代の扉を開くのか。世界的にはVICTOR社からも競技用の合成シャトルが発売されている。
今後、選手たちが実際に使用した感想、大会で使われ、さらに改良を加えられて合成シャトルが育っていく過程に注目したい・・・。
   デイリー新潮・小林信也 より
▼「CROSSWIND 70(クロスウィンド 70)」に続く

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