☆シャトルコック 最前線
 原毛不足が引き起こすシャトルコック不足
 シャトルコックが値上がりし続ける理由や、今後の見通しはどうなのか、ヨネックス鰍フ記事が掲載されていたので、抜粋・紹介する。
 新型コロナが落ち着いた2023年以降、世界情勢の変化や円安などの影響を受けて、日本では物価高が長く続いている。
バドミントンでもラケット、シューズ、ウェアなど、さまざまな用具が値上がりしている。その中でも、競技を行う上で欠かすことができない シャトルコックの価格が、断続的に上昇している。コロナ前に比べると各メーカーとも1.5倍以上の値上がりとなっている。
 そもそも、なぜ水鳥シャトルコックの価格は値上がりするのか。ヨネックス鰍ナは、
「現在、多くの国でバドミントン人気が高まり、世界的に競技人口が増え続けている。そのためシャトルコックの需要も増えているが、 それに水鳥シャトルコックの生産が追いついていない。原毛となる水鳥の生産者が減り続けていることが大きな原因。」と説明する。
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 水鳥シャトルコックは、一般的に、中国で食用に飼育されたガチョウやアヒルの羽根を使用する。その水鳥を飼育する農家は、 10年以上前から減少し続けて、水鳥の生産数が大きく減少。原毛不足を解決する手段が見つからないまま時が過ぎ、現在の高騰を 招いている。水鳥が、シャトルコック製造が目的ではないので、食用としての需要が伸びない限り、今後も生産数が増えそうもない。
「原産地である中国は、以前は水鳥の消費が多かったが、食文化が変わり、水鳥を食べる人が減った。生産数が減ったのはその影響だ。
近年はシャトルコックを製造する人件費や輸送コストも上昇し、この1、2年では 特に値上がりに歯止めが効かない状況になっている」という。
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 競技人口の増加は、特に中国圏が顕著だが、他にもマレーシアをはじめ、東南アジアでも人気とともに競技を始める人が増えている。
 日本では少子化による人口減が社会問題となっているが、バドミントンの競技人口は他競技に比べても伸びている。
 夏の高温が昨今問題になっているが、冷暖房の設備が整った体育館が増えていることや、さまざまな年代の人が気軽にバドミントンを 始めやすくなっている。」
 競技人口が増えることは、関連商品のメーカーとしては喜ばしい状況だが、競技になくてはならないシャトルコック不足の問題は、 競技人口の増加に比例して深刻化していく。天然資源を使う競技としての悩みだが、供給するメーカーもプレーヤーが気軽に購入しにくく なっている現状に苦慮しているということだ。
 人工シャトルコックの現状と将来
 BWF(世界バドミントン連盟)も、シャトルコック不足は以前から不足するだろうと懸念していた。水鳥シャトルコックに代わる人工シャトルコック の開発を各メーカーに要請していた。数年前からいくつかのメーカーから人工シャトルコックが発売されたが、そのほとんどは練習球として 使用されており、大会球として採用されている例は全国的にも少ないのが現状だ。
 練習時のコスト面や耐久性という観点からは、人工シャトルの有効性は高く、飛行性能や打感についても年々進化している。
しかし、水鳥シャトルコックの優位性を払拭する品質のものを作るのは難しく、メーカーとしても プレーヤーが納得する製品の開発に当たっているのが 実情だ。
 シャトルコックの定義について、競技規則より
 シャトルは天然素材と合成素材を組み合わせるか、いずれか一方から作ることができる。ただし、どの素材で作られたものでも、 コルクの台を薄い皮で覆ったものに、天然の羽根をつけたシャトルと同様の飛行特性がなくてはならない。
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 つまり、飛行性能が水鳥製と同様であれば、素材同士の組合せは自由ともいえる。天然の羽根と合成素材を組み合わせた "ハイブリッドシャトル"が各メーカーから発売されているが、すべて合成素材のシャトルも含めて、現在のルールではどれも大会で使用することは 可能となる(ただ、大会では検定球を指定する場合もある)。
 合成素材のみでできているシャトルコックには、ナイロン素材を用いたものが広く普及しており、比較的安価に入手できる。
耐久性にも優れているが、水鳥製に比べると、やや軽い感覚が残り、打球感に物足りなさを感じる人が多い。
 一方、人工シャトルコックは、羽根全体がつながっているナイロン製に対して、水鳥シャトルコックと同様に16枚の羽根がコルクに つけられている。羽根そのものは合成素材だが、見た目は限りなく水鳥製と同じで、飛行性や打感なども水鳥に近づけて開発されている。
 近い将来、国内の全国大会やなどでも使用できる高品質の人工シャトルコックも出てくるだろう。
 変化を受け止め、新たな試みに取り組む
 シャトルコック不足と価格上昇が今後も避けられない状況で、競技者もメーカー側の開発を待つだけではなく、将来的に水鳥製と 人工シャトルコックの併用に向けた準備も必要となってくる。
また、コスト面ではナイロン製のシャトルコックを利用した練習方法を取り入れるなど、練習環境の変化も受け入れながら対応しなければならない。
 水鳥製とナイロン製を使い分けてスキルアップができれば、練習の幅も広がり、シャトル代の負担を軽減させながらバドミントンの練習に 取り組んでいけるハズ。
 天然素材をの用具を使用する競技という特性上、シャトルコックの問題とは今後も向き会い続けていくことになる。 その中で競技を続けていく我々は、競技の魅力を再確認しながら、新たな取り組みやスタイルを楽しむ心持ちが大切だ。
 スポーツは常に進歩していくもの。その進化の中で、競技を楽しみ、競技者を増やすことは、バドミントンが世界中で 広く愛される競技となっていくだろう。

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