★クリアーの概念を変えよう
クリアーは
クリアーは、どんな選手も最初に練習するショットだ。まずは遠くに飛ばすことから目指すものだ。
シングルスでは実際の試合でも多用されるショットだが最近はその使い方も変わってきている。以前に比べて 「上げたら打たれる」という男子ダブルス的な考えや、
風の影響によってはバックアウトになるケースも増えるからだ。とはいえ、基本のショットであり、大事なショットであることは間違いない。
劣勢のときに打つことが多いので、守りのショットとして定着しているクリアー、今一度見直して"ポイントを奪うため"に使ってみるためのメソッドを見ていこう。
[林丹が使ったクリアー・・・]
現在、龍谷大で監督を務める古財和輝氏が大学生のとき、2008年北京五輪で金メダルを獲った
林丹(2020年7月引退)と対戦する機会が有り、そのときのクリアーに
衝撃を感じたという。
ラリー中に何気なく打ってくるクリアーは、スピードが尋常でなく、これまで受けてきたクリアーのタイミングとは全く違うスピードで飛んできたという。
弾道も、ちゃんと放物線を描くクリアーなので、男子選手がジャンプして届く球ではない高さでくる。高いのでアウトだなと見送っても、ちょうどバックバウンダリーライン
上に落ちてくる。それまでの「ねらったコースにしっかりシャトルを運ぶ」というクリアーのイメージが一変してしまった。クリアーを打たれれば反応が遅れて
後手にまわり、返すことに必死になって、相手との駆け引きをする暇もなかった...。
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[攻撃的なクリアーの特徴・・・]
林丹のクリアーが他の選手と大きく違ったのは"クリアーの初速の速さ"だ。さらに高さもある、低い弾道のクリアーは最後に減速するが、林丹のクリアーは
放物線を描くので、最後はきっちり減速してライン上に落ちてくる。
もし、クリアーがもっと効果的に使いたいと思っている人は多いハズ。しかし、実際の試合で使わないのは、攻撃で使うことをイメージできていないことと、
そのための練習をしていないことが原因だ。
●攻撃的なクリアーは、相手が待っている球の逆をついて、体勢を崩すことが狙いの一つだ。
例えば、自分がシャトルの下へいい体勢で入れたとすると、対戦相手はスマッシュやカットを警戒するので重心を前気味にしたレシーブの意識で待つ。
そこで、こちらが相手の頭上を抜くような速いクリアーを打てば、
重心が前のめりの選手の"逆"をつくことになる。
ノータッチにならなくても、相手の反応が遅れてのけぞった苦しい体勢で返球させることができればOK。相手の頭の中に"この選手はクリアーがある"と植え付ければ、
その後のスマッシュ、カットも効果が高くなる。
攻撃的なクリアーの目的は、あくまでも相手の体勢や考えを崩すことにある。 直接ポイントにつながらなくても、自分のラリーを
優位にすることができる。
●クリアーの質を高めるには・・・
まず、ベースとなるのは
クリアーをスマッシュ、カットと同じフォームで打つこと。相手に何を打つかバレないのは、上から打つショットの基本的な考え方。
特にクリアーは甘くなるとカウンターを取られやすく、使う上でネックになるところだ。そのカウンターを打たれる可能性を消すためには、シャトルの下に
素早く入り、自分の打ちやすいフォームで打つことを徹底する。
●コンパクトなスイングを・・・
強い球を打とうとすると、どうしてもフォームが大振りになる。そうなるとショットのコントロールが安定せず、相手に球種がバレやすい。構えてからインパクトするまでの
時間を短く、鋭いスイングをすることで効果的なクリアーになる。
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[クリアーの質を理解する練習]
練習は...クリアーとカットの打ち分け練習。練習者はストレートクリアーを基本にしながら、好きなタイミングでカットを打つ。練習相手の反応が遅れるような
クリアーを打つのが基本だが、練習相手の感想を大事に、クリアーの質やカットのタイミングなどを具体的に感想をもらうことで、ただのストローク練習からクリアーの質を
上げる練習に変わる。

※自分(練習者)はクリアーとカットを打つ。練習相手はクリアーに対してはストレートクリアー、カットに対してはロブ、クロスロブで返球。決まるまで続ける。
対人競技であるバドミントンは、相手にとって嫌なショットでなければ意味がない。トップ選手のクリアー(配球や使い方)を参考にし、ワンランク上を目指そう。
男子では常山幹太(強烈なスマッシュよりはねばり強いラリーが持ち味)、女子の奥原、山口選手の(パワーで押し込めない相手に対してどういう場面でクリアーを使っているか)
プレーを見返してみるのもいいのでは....。
↑ 常山と林丹のクリアーの応酬
▽常山幹太のクリアー論も参考に!
[時間をつくるためのハイクリアー、ラリーを組み立てるためのつなぎのクリアー、プラス ポイントにつなげる攻撃的なクリアーを]
クリアー練習は、一番長い距離の打ち合いなので体力を消耗するし、単調なショットの繰り返しなのでおもしろみがないと感じる人も多い。
しかし、押し返すだけのクリアーだけではもったいない。ロブも含めて"守備"という固定概念を取り払ってプレーの視野を広げていこう!
(^_^)