ルール&審判の最新事情!
[遠井努・公認国際審判員]
ラリーの高速化が進んでいる現代のバドミントン。選手たちのプレーが日々進化する中で、ルールや審判員の心構えも
その時代に合わせて常に変化している。
[最近のルール事情]
昨年5月、BWFの年次総会でルールの一部改訂が可決され、今年から施行されている。近年、ルールに関する見直しが増えている理由の一つは、
「わかりやすいルールづくり」というねらいがある。バドミントン人気が世界的にも高まり、初めてバドミントンを観た人人でもわかりやすいルール作りにBWFが
取り組んでいるようだ。
また、最近は時間短縮の傾向が強くなっている。審判員の注意事項としても、選手がコート内をウロウロと歩かないように、すぐにサービスを促す声掛けとか、
試合直前のアップの2分間もざっくりとではなく、"トスが終わってから2分間"となり、主審が審判台に座って「ラブオール・プレー」のコールまでが
2分間と細かく定められ、より厳密に運用されている。
時短の流れは、やはりテレビの影響が大きく、中継が入る国際大会なども1種目が30分から1時間に収まるのが目安とされているようだ。ただ、
試合が長引いたからといって審判員が怒られることとがあるわけではないが・・・。
国内の大会でも少しずつその流れになっていくものと思われる。
われわれにも関わるルール変更は、サービスの高さとラケットのストリング(ガット)が切れた後の試し打ちが禁止されたことだ。
これまでラケットの試打に関する明確なルールはなく、今までの流れの中で行われていたが、時短の流れの中で、ラケットの試打の必要性がないと判断されたものだ。
加えて、"公平性を保つ"意味合いもあるものと考えられる。これは、シャトル交換の際、審判員は必ず新しいシャトルはサーバーに渡す決まりになっている。
これはラケットとシャトルの最初のコンタクトを大事にするため、レシーバーが最初にシャトルを打つことで感覚を掴むことを防ぐ意図がある。同様に、試打をなくす
ことで、よりフェアな状況で試合を再開することにつながるという考えだ。
[サービスの高さ]
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「サーバーがサービスをする瞬間に、シャトル全体がコート床面から1.15m以下でなければならない」というルール変更も、「わかりやすいルール」ということから
定められたものだ。国際大会では「デバイス」とよぶ平衡機がついた測定器を使用して測るが、BWFから提供されたものは絶対数が不足しているため、
国内の大会では代替案を検討しながら進めていくことになる。
[優れた審判員への道]
小さい声でのコールは選手からの信頼はつかめないし、試合の進行にもいい影響は与えられない。主審を担当したときには、はっきり大きな声でコールすることを
心がけよう。また、線審は「アウト!」と大きく発することで、判定に対する自信が持てる。日頃の練習時から習慣づけておこう。
もうひとつ、[サービスジャッジ]についても、しっかりとフォルトをとれる審判員を目指して欲しい。"フォルトをとるのは選手ら悪いな"という心理が働くかもしれないが、
サービスフォルトを見逃すということは、反則のサービスをレシーブする人がいるということだ。ただ、座っているだけのサービスジャッジでは意味がないので、
フォルトと判断したときは思い切ってコールをしよう。
試合をコントロールするためには、主審だけではなくラインをジャッジする線審との関係性も重要だ。特にイン・アウトを判定した線審としっかりアイコンタクトを取ることが
重要。ただ判定をするだけではなく、主審・線審、そして選手が一緒になって、いい試合を作り出してほしいものだ。
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