勝つための"カギ"★ダブルスのサービス論(2)
あらゆるショットの中で唯一、止まって打つことができるサービス。サービスのルールが変更後、世界のトップランナーの中で様々な変化がおきている。
今回、最新の傾向を踏まえたダブルスのサービスの重要性や極意を、世界で活躍後、代表やジュニアのコーチをしている早川賢一、高橋礼華のサービス論を紹介。
上達のヒントをつかもう! (2)では(1)[極意1]の続きと、ケース別の具体例をみていこう。
●[極意2] タイミングを外すためにテークバックの長さを変える!
サービスのポイントはタイミングを外すこと。タイミングを外せれば、ショートサービスが浮いたとしても一発で決められることは少ない。
相手がどこをねらっているかを考えながら、タイミングを外して、いかに白帯より下で取らせるかが重要だ。
タイミングの外し方としては、テークバックの長さを変えるのもよい。ラケットとシャトルをセットしたあと、テークバックを短くしたり、長めにしたりする。
また、シャトルだけを体の前にセットして、ラケットを少し離れたところからピッと打つ。テークバックがない分、レシーバーは取りにくくなる。
不用意に長すぎるとフォルトになるので注意!
●[極意3] ルーティンを作って"いつも通り"に!
サービス場面は緊張したり、プレッシャーがかかるとミスがでる。なにかルーティンを作るのも一策だ。サービスは反復練習で精度を上げていくもの。
日頃の練習においても、打ち始めの一本から大切にしていこう。
●[ショートサービス]からの基本パターン
[CACE 1] ラインのギリギリに落として、相手のヘアピンを上から触って攻撃へ
基本的にショートサービスのコースは、(偶数コートの場合)センター寄りとその少し右、シングルスのサイドライン際の3カ所。攻撃をねらいやすいのがセンター寄り[図の@]。
ショートサービスラインのギリギリをねらうことができれば、レシーバーは前に出ながらバックハンドで対応してヘアピンを打つ確率が高い。真ん中あたりに返ってきたら
サーバーは上で触ろう。プッシュやドライブ系の球で攻めることができたらベスト。それがムリなら、相手のバック側のハーフにスッと落とす。
これに対して、後衛は下から取って上げてくる可能性が高いため、攻撃につなげやすい。
こちらがバックハンドで打った場合も、相手のフォア側よりバック側に打つ方がラケットを振りやすくてミスも少ないのでバック側のハーフをねらうのがスタンダードだ。
=> 相手のサービスレシーブは、サービスの長さによってある程度予測できる。 ショートサービスラインのギリギリの短めのサービスに対してはヘアピンが返ってくることが
多く、それよりやや長めのサービスに対しては、前衛を抜いてくるようなドライブ系や、ハーフに落としてくる可能性が高い。そこで、サーバーは、短めに打ったら
一歩前に出て、ヘアピンを上で触れるように準備。長めに打ったらその場でステイし、ドライブ系のリターンをブロックできるように準備する。
サービスから仕掛ける意識を持ち、3本目で優位に立てるようにしよう。
=> バック奥にヘアピンが浮いてきたら、相手のフォア奥を突く。 レシーバーのヘアピンは、サーバーのプレッシャーを避けて
サーバーのバック側に置きにくることがある。[下図]
これが浮けばチャンス。真ん中へのヘアピンより距離があるためプッシュは難しいが、ドライブ系の軌道で相手のフォア奥(赤丸部分)をねらうとよい。
相手の後衛はストレートのドライブかクロスに落として逃げてくる可能性が高い。サーバーは打った後、そのままバック前に入ってストレートを張っておく。パートナーは
サーバーが前に出た時点でバック奥とフォア前の2点をカバーする意識でポジショニング。クロスに逃げてきたら上からさわって、プッシュやドライブで攻め込もう。[下図]
[CACE 2] センターラインより少し右をねらって、バック側への球を読んで早いタッチで沈める
CASE 1のセンター寄りはアウトのリスクがあるため、安全な"少し右"を打つことも薦める。特に緊張しているとき...。[図のA]
このコースから優位に立つには、長めのサービスをバックハンドで取らせること。相手はそこから、バック側のハーフ[二人の間]付近に落とす可能性が高い。[次図]
ハーフへの対応は、少しでも遅れれば命取りになる。ショートサービスライン付近への返球はサーバーが処理するが、ラインを越えて伸びてくればパートナーが対応。
パートナーは、速いタッチで沈められるよう準備する。
いい形でストレートに沈むドライブ、あるいはサイドライン際にドライブが
打てれば、相手はショートリターンかクロスに逃げてくる。それを上から触って攻撃に展開していく。[下図]
残念ながら、読みが外れてもミスをせずに、しっかりロブを上げてゼロからラリーをスタートするつもりでリセットしよう。しっかり二人でフォローして
ラリーをつなげることが大切だ。
次回は(3)「ラリー戦が多い女子ダブルスのサービス」へ続く。