遠藤大由の「強さ」と「思考」に迫る
 現役では日本男子トップのキャリアを持ち、長きにわたって男子ダブルスを牽引している遠藤大由。今年3月の全英OPでは、渡邉勇大とのペアで自身4度目の 決勝を制して同種目で日本勢初優勝を達成した。現在34歳とベテランの域に入り、なお一線で輝いている理由を−−−今あらためて強さの秘密をみていこう。


(1)シンプルかつ堅実なプレーが自分にあったスタイル
 自分の強みは「超シンプルにプレーできる」こと。上げるなら上げて、落とすなら落とす。フェイントを入れたりしない。ここに来たらここに返すといった感じだ。
派手にやろうと思えばできるのだが、自分はそういう性格ではないので 自分のできる範囲で、しっかり堅実にやっているのが合っているので...。
 以前は無理矢理ドライブを打ったり仕掛けたりしていたが、最近、ちゃんとしたキャパシティが分かってきたんで、動けないのは動けないと割り切るようにしている。
 動きに関しては、リオ五輪がピークなら、早川賢一とのペアの時は8割、今は3割ぐらい! だからこそ、無理をせずに、自分の動く範囲を狭めて、その場所ではミスを しないようになってきた。今は、(渡邉)勇大が動けるので、パートナーがトップスピードで動けるように意識してやっている。

(2)ダブルスで勝つために大事なことは
 話し合うことが大切。男子ダブルスは展開が速くて、コンマ何秒でのやりとりなので、それが分かっていることが大事だと思っているので...。 パートナーがどこに打つか分かれば次の準備もしやすい。
 お互いを知ることによって動きやすくなり、ローテーションが良くなってきたのは大きい。一番は、レシーブのレパートリーが増えたこと。相手によって 上げないプレーをしたり、ドライブでいけるところをあえて高く打ったり、相手や状況にによってレシーブの種類を変えられるようになったことが優勝につながっている と思う。
 現在の課題は「前衛」。全英OPでも、もっと前で触れたし、もっと落とせたと感じているので、そこに自分の伸びしろを求めていきたい。
ダブルスとしての完成度はだいぶいいけれど、自分の完成度としては理想の半分くらい。やめた早川のほうが全英がうまいので! 東京五輪に向けて、 少しでも理想に近づけるように、ちょっとずつ頑張っていきたい。

(3)遠藤大由の「強さ」の秘密
 リオ五輪まで6年間ペアを組んでいた早川賢一氏(日本ユニシス)によると、
●体が強くケガが少ない。フィジカルを生かしたプレーが魅力。
●向上心が高い。一つのミスを突き詰める。
●研究熱心。相手のクセを見抜いて優位に立つ。
こういった点が遠藤大由のスゴイところだという。



 ケガが少ないということから、追い込んだ練習をしても、これ以上やると危ないラインが自分でわかっている。追い込みすぎてケガをする選手が多い中、うまくコントロールしながら 継続して練習できるのが、長く活躍できている要因の一つだ。プレー面でもフィジカルを生かしたプレーが魅力で、あのジャンプ力や瞬発力など身体能力が高い。
 年齢を考えると向上心が高いのは非常にすごい。特に「前衛」に取り組む姿勢は、勇大と組み始めてからからの本当にスゴイ。確実にレベルアップしている。
多くの選手が「ミスをしたな」で終わるところを、遠藤は「なぜミスをしたのか」を突き詰めて考える。苦手なことはやりたがらないと思いがちだが、そこをできるまでやる。 ミスしないプレーが一番強いと思っている遠藤らしい考えだ。
 研究熱心ということからいえば、男子ダブルスの展開が速いので返球コースの割合を把握する力。遠藤選手は、相手の得意、不得意、ローテーションのやり方などを見て 返球を予測したり、対戦相手の映像分析をしたり、研究熱心なところがある。また、調子が悪い時には、自分が良かったときの映像を見てイメージを高めたりもしている。

(^_^)
遠藤大由の「強さ」と「思考」「シーン別の強さ」「レシーブの分析」へ続く

▲戻る