遠藤大由の「強さ」と「思考」に迫る -2-
 第2回目は、「シーン別の強さ」を見ていこう。


[SCENE 1]サービス&サービスレシーブ
 遠藤は「サービスの善し悪しに関係なく、次をしっかり取ろうという意識を持っているのがいいところ」と早川賢一氏(日本ユニシスコーチ、日本B代表コーチ)が言う。
サービスが苦手な人は入れることばかり考えてその次が触れないものだが、遠藤はサービスの不利な状況を、どう有利に進めていくかをしっかり考えているようだ。 コースをよく考えて打ったり、サービス後に頭を下げずに相手をよく見て勝負を仕掛けに行ったりできる。
 遠藤本人も、「サービスは、自分では得意でないので、『入れておこう』くらいのスタンスで打っている。サービスは、メンタルの要素が強いのでミスしては行けない、 浮かしてはいけない、と思うことが悪循環になってしまう。それくらいなら、楽な気持ちで打って、打った次のことを考えた方がいい。次の球は自分が行ければいくが、 パートナーがフォローしてくれるので助かっている。(笑)

 サービスレシーブは、プッシュ1本で決めようと思わず、次をねらうことを考える。
相手の癖を見て、返球を読みやすいところに打つ。自分的には、サービスレシーブを前で止められると嵌められた感じがするので、すごくイヤな気持ちになる。この不安を 防ぐには、止められないようにして逆に相手を嵌めることを意識する。ただ、自分がそこに打てるかどうか、、その技量があるかが重要だ。

[SCENE 2]攻撃場面
 遠藤のスマッシュはレパートリーが豊富。ハーフスマッシュや、カット気味に打ったり、角度のないドリブンクリアーのような高めのスマッシュもある。 スピードの速い決め球と崩す球も持っているのは相手にとっては嫌なもの。様々な種類を打ち分けられるのは、動きの速さを生かしてしっかり球の下に入れているから。(早川氏)
 前衛で心がけるのは極力前で止められるようにすること。時間を奪えるし、相手にプレッシャーもかけられる。そのために、相手の癖を速く見つけるようにしている。ひとり一人癖は絶対にあるもの。
 後衛では、年々攻撃力は落ちていることもあり、今、そこまで必要がないかなと感じている。トップ選手はレシーブが上手くて一発で決まらないので、その次をねらうことを心がけている。相手の構え方やポジションを見て、コース、速さ、高さを打ち分けて、ねらったところに打たせる。組立が大事だと思う。

[SCENE 3]守備場面
 遠藤のレシーブは、差し込まれても後ろに返す能力がとても高い。特にスマッシュで差し込まれても後ろに返せる能力は日本選手では一、二。
腕っぷしの強い遠藤とショートレシーブの上手い(渡邉)勇大のレシーブ感覚のいい二人が前に出るようになったら、相手はやりづらい。動きも速いので、落とした球が少しでも 甘くなれば叩かれるので相手からすると怖い。守備場面でもプレッシャーがかけられるのは強み。(早川氏)
 遠藤本人は、レシーブで大事なのはロブだという。サービス周りと同じくらいレシーブも重要度が高い。サービスが得意ではない分、上げる場面が 増えるので、相手からの攻撃を返すためにまず大事にしているのがロブ。
飛距離や高さに気を付ける、そのロブに対する相手の入り方、体勢を見れば大体のスマッシュコースがわかるので準備がしやすいと言う。



[遠藤大由のレシーブを分析]
前傾姿勢でフトコロを大きく 体の前でしっかりラケットが振れる。相手の球が速く体に近い出点になっても、上体を起こしながら 打つことができる。
勇大の前傾姿勢も、前に落とされても対応しやすい構えでいい。

ヒジから先でコンパクトにスイング 遠くへ飛ばそうと肩から振ってしまう人が多い。大振りになると次への対応が遅くなるので、 ヒジを支点にコンパクトにスイングできればコースもねらいやすい。

ヒザをうまく使って力を伝える 1→2→3とヒットにかけて曲げていたヒザを伸ばすことで、その力をシャトルに伝えている。また、打ちながら 4のように左腕を後ろに上げるのもポイント。胸を開くことで腰をひねる力も使えるので、練習しておくとよい。

よりレベルアップのために・・・ 1で遠藤が右足を引いているのは、相手がラウンド側で打っているので、自分のフォア側にストレート スマッシュを打たれたときのラケットを振る空間を作っておいて、対応できるように次を意識しているのがわかる。

 

(^_^)
遠藤大由は「どんな相手でも、真っ直ぐに飛んでくるスマッシュは絶対に取れる」と思うことが大事だと言う。

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