「メンタル」の疑問
「メンタルが強い」とか「メンタルが弱い」ってどういうこと?
試合になると緊張する、プレッシャーを感じて普段通りの力が出せない、勝負所に弱いなど・・・。誰でも経験するメンタルの悩み。
●メンタルの要素とは
心技体という言葉があるように、スポーツで発揮されるパフォーマンスは、体的、技術的な条件はもとより、心理的な影響を受けているということはいうまでもない。
心の状態は体に反映し、体の状態は心に表れる。また、競技レベルが上がるにつれて、心理的要因がパフォーマンスに影響することが明らかにされている。
つまり、トッププレーヤーになればなるほど、メンタル面が勝負を左右するともいえる。逆に言えば、競技レベルが低い段階では、技術・体力の差が勝敗を決する
大きな要因となるが、競技レベルが高くなればなるほど、精神的にも身体的にもストレスの大きい状態の中で、研ぎ澄まされた技術を発揮しなければならい。
一口に「メンタル」といってもたくさんの要素から成り立っている。大きく分けて1>競技意欲、2>精神の安定・集中、3>自信、4>作戦能力、5>協調性に分けられる。
●競技意欲;忍耐力、闘争心、自己実現、勝利指向性
精神の安定・集中;自己コントロール、リラックス、集中力
自信;自信、決断力
作戦能力;予測力、判断力
協調性
と12の尺度があり、メンタルが強い、弱いといってもさまざまな観点から見る必要があるということだ。
自分たちも、普段から漠然と「メンタルが強い」「メンタルが弱い」というときに、自分にはどういった強みがあって、どういったことが苦手か、考える機会を
持つことが大切だ。そこで自分に足りない部分を高めることを意識することで、先ほどの12の尺度で表される全体のポイントが高まり、自分自身のメンタル強化につながっていく。
●トレーニングの効果とやり方
実際のメンタルトレーニングはどうやるのが・・・具体的には、
1>競技前後における精神状態をコントロールするための心理スキル(対処法)・・・呼吸法、リラクゼーション法、サイキアップ(気分を高める)、セルフトークなど。
2>選手の人間的成長を援助することによって欲や迷い、恐れ、不安などを軽減させる・・・カウンセリングなど。
といった2つの方向性がある。
[例1]試合前に緊張を和らげたい
頭の中で三角形をイメージする。緊張しているときはイメージした三角形は頂点の角度が鋭い二等辺三角形のイメージだ。この三角形を徐々に、
頭の中で正三角形に修正し、さらに底辺が長いどっしりとした三角形に形を変えるようにイメージする。そうすると、徐々に心が落ち着き、、リラックスしていく。
[例2]もし悩みを持つアスリートだったら
頭の中で映画のスクリーンをイメージする。そのスクリーンに一本の道をイメージし、その先にある家の扉を開けると、その先に老人が一人座っている。
その老人にあなたの悩みを相談すると、その老人はなんと言ったか?。「もっと丁寧に」あるいは「もっと足を動かせ」でしょうか。
その老人は、誰かというと、実は自分自身なのだ。つまり、その悩みの解決法は、自分自身の中にあるわけだ。これはイメージを使ったカウンセリングで行う方法である。
こうした心理スキルを応用し、トレーニングを重ねることによって、試合中の短い時間の中でもメンタル・コントロールができるようになる。
[例3]集中状態を効率よく作るには
「アイ・コントロール」というスキルを使う。一般的に競技者は、集中力をコンセントレーションというが、スポーツ心理学では「注意(アテンション)」と捉えている。
この「注意」には、「広い内的な注意の集中と外的な注意の集中」そして「狭い内的な注意の集中と外的な注意の集中」とがある。
●「広い外的な注意の集中」とは、自分の外側で起きている出来事の全体を見て、何が起きているかをキャッチするための集中だ。
バドミントンでいえば、相手がどこにポジションをとってどのような体勢でいるのか、ダブルスなら相手のフォーメーションやパートナーの状態を見るための、
いうなればレーダーのような働きをするものだ。
そのあと、キャッチした多くの情報を処理するために、頭の中にいったん蓄え(内側の広い注意の集中)、実際にどのような行動をどるのかを決定する(狭い内的な注意の集中)
わけだ。そして最終段階は、シャトルに集中して(狭い外的な注意の集中)ラケットをスイングすることになる。外乱要因の多い競技場面で「アイ・コントロール」は
とても有効だ。どんな競技でも集中状態にある選手でキョロキョロと目が泳いでいるような選手はいない。「アイ・コントロール」では、「体育館のこの柱」などと競技場の見る場所を決めておくことで、
集中状態に入りやすくなる。
●「狭い外的な注意の集中」を高めるためには、より近くのものに集中するという方法もある。
例えば、テニスのプレーヤーはポイント間にラケットのストリングを直すことを習慣にしている人がいる。これぱ「ストリングを元の位置に戻す」ことだけではなく、
ストリングを見つめることで集中を高める効果にもつながる。バドミントンでも同様の効果が得られるのでは・・。
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