☆ケガをしにくい体づくり[肩痛編]-原因-
スピーディーかつ力強い動きが求められるバドミントンは、身体への負担が大きいスポーツである。長年競技を続けている選手には、腰やヒザ、肩に痛みを感じ、
慢性的なケガの悩みを持つプレーヤーも多い。今回は使い過ぎによる慢性的な痛みが出やすい肩についてみていこう。
●肩の痛みが起こる原因を知ろう!
[CHECK 1] 正しい位置でラケットを振れていない
バドミントンでは起こる肩のケガは、そのほとんどがストロークの繰り返しによるストレスから生じる慢性障害だ。ここでは「肩関節の正しい位置」と
「インナーマッスル」の二つについてみていく。
一つ目の「肩関節の正しい位置」とは、上腕骨と肩甲骨の位置関係だ。腕を振るための理想的な位置関係があり、外れた位置でのストロークは肩関節に偏ったストレスとなる。
その代表例がインピンジメント症候群。インピンジメント[impingement]は「衝突」という意味で、上腕骨と肩峰が衝突したとき、
その間にある組織(腱や滑液包)が挟みこまれて生ずる炎症だ。

この正しい位置関係をつくるポイントが肩甲骨の動きだ。肩甲骨の動きの悪さは、肩の崩れた位置関係でのストロークとなりケガの要因となる。
次に、「インナーマッスル」。ぐるぐると回すことができる肩関節は、動きの自由度が高い関節だけれども強い構造ではないので、
安定した動きにつなげるには関節周辺の筋肉で補うことが必要だ。
その補う役目をしているのが「回旋腱板」という筋群で、一般的には肩のインナーマッスルと呼ばれている。よくチューブトレーニングなどで取り上げられている。
バドミントンの場合は、脚や体幹の力をストロークに伝えるので、その目的は関節の安定である。ストロークするときの遠心力で離れていこうとする腕を引きつけてキープ
する役割をするのだが、ストロークの加速とブレーキの繰り返しによって消耗し、耐えられなくなってしまうと腱板損傷などの障害につながってしまう。
[肩甲骨が使えていない]とは
バドミントンだけではなく、テニス、野球、バレーボールなど、肩や腕を使うスポーツでは「肩甲骨が使えていない」「肩甲骨の動きが悪い」ということがある。
具体的に自分で肩甲骨の動きのイメージはできていだろうか?
肩甲骨は胴体とは直接的には固定されておらず、鎖骨を介してで、周辺の筋肉がいろいろな方向から引っ張る力によってその位置を保っている。複数の筋肉によって
動く肩甲骨は、自由度が高い。細かい調整やさまざまな動きができる一方、いずれかの筋肉が硬かったり、動きが悪かったりしたら肩甲骨は正しく動かない。

腕の上げ下げは肩関節と肩甲骨の動きで成立する
一般的に、肩関節は上腕骨と肩甲骨の関節(肩甲上腕関節)をいい、腕の動きは肩関節と肩甲骨が組み合わさって完成している。
自由度の高い肩甲骨だが、ラケットを振るときは正しい姿勢で安定させることが重要だ。土台となる肩甲骨がぐらついていると、ラケットを強く振れず、脚や体幹の力が
シャトルに伝わらないことを認識しておこう。
ゼロポジションでラケットを振る
バドミントンや野球など、ボールを上から打つ、投げる動作で理想的な肩の角度を"ゼロポジション"という。肩甲棘と上腕骨がほぼ一直線上になる位置関係で、
肩甲骨・上腕骨が安定しやすく、障害につながるストレスが少なくなる。
▽肩痛の予防-2-「肩甲骨の運動」に続く
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