☆ケガをしにくい体づくり[腰痛編]-原因-
 スピーディーかつ力強い動きが求められるバドミントンは、身体への負担が大きいスポーツである。長年競技を続けている選手には、腰やヒザ、肩に痛みを感じ、 慢性的なケガの悩みを持つプレーヤーも多い。今回は腰痛についてみていこう。
腰の痛みが起こる原因を知ろう!
[CHECK 1] 腰・胸郭・股関節が連動していない
 バドミントンではオーバーヘッドストロークなど、腰や背中を反る体勢の時に痛くなる伸展型腰痛が多い。特にラウンド側 (バック奥)のシャトルを打つ体勢は背中から腰にかけての負担が大きくなるためで、腰痛を引き起こす要因となる。
 腰の負担が大きくなる理由には、腰・胸郭・股関節がうまく連動して動かないことが挙げられている。
 例えば、上半身を後ろに倒して腰を反る運動(後屈)を例にしてみよう。
本来は腰・胸郭・股関節の3つの動きで反る動作を完成することが理想だが、胸郭や股関節の動きが硬いと腰のみで反る形となり、腰に集中して負担がかかる。 腰痛の予防として、まずは胸郭や股関節の硬さを取り除くこと、自由に動かせることがポイントになる。
[CHECK 2] 体幹・腰周囲をうまく固定できない
 負担が集中しがちな腰周囲や体幹を、運動中にしっかり固定でないことも腰痛が発症する原因だ。
よく「予防のために腹筋をしよう」ということを耳にしたことがあるハズ。たしかに腹筋の効果はあるが、単純に腹筋などを鍛えれば 予防につながるわけではなく、運動中に腹筋の収縮をどのタイミングでおこなえばいいのかなど、腹筋の強さよりも腹筋の使い方が大事になってくる。
 また、体幹を鍛えるとき、反る時に腹筋を脱力することも腰には良くない。体幹の反りをつくるには腹筋の力が必要なのだ。 体幹をうまく使えれば、腰痛予防だけではなく、フットワークやショットの質を高めることにもつながってくる。

腰痛予防のキーワードは理想的な「可動性」「安定性」
 バドミントンで起こる腰の痛みは[CHECK 1] のように胸郭と股関節との連携不足が要因の一つだ。単純に腰を鍛えれば腰痛が予防できるわけではなく、 「腰だけが頑張る状況を減らす」ことが高い予防効果となる。
 腰につながる胸郭は、心臓や肺をかごのように守っている肋骨の部分を指すが、バドミントンの動きでは胸郭が伸びたり縮んだりする。胸郭が硬いと体を丸めたり、 反ったりする可動範囲が小さくなる。遠くのシャトルをさわろうとすると大きな可動範囲が求められ、強く飛ばそうとすると身体のしなりが必要だ。
 この胸郭が使えないと、飛距離が出ない上に、腰だけの動きに頼った運動になる。ラウンド側の対応は、特に大きく体を反ることが多いので腰の負担が大きくなってしまう。

 また、ここでは股関節も絡んでくる。股関節は骨盤と連結しており、股関節が硬いと骨盤がうまく機能しないということは、胸郭と同様に腰だけが頑張って動く状況となり、 ストレスがどんどん蓄積される。
股関節の硬さはラウンド側の動作以外にも、ネット前々でのヘアピンやロブを打つ姿勢にも影響が出てくるので、柔軟性を高めて腰の負担を減らすことが必要だ。
 考え方としては、「動かなさ過ぎる」ところは動くように(可動性)、「動き過ぎる」ところは固めるように(安定性)エクスサイズすることだ。

体幹が使える状態に整える
 現在では、体幹トレーニングという言葉は広く浸透しているので、部活の一環として取り組む機会も多いはずだが、大学などでの同好会や社会人などては機会が減って くるだろう。しかし、前述のように、体幹(胸郭や腹筋周り、股関節までの範囲)は大事で、手足の動き出しには体幹の固定(体幹筋の収縮)が必要だ。

▽腰痛の予防-2-に続く

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