実戦ルール(94)ラリー中、ラケットを2本持ってコートに入ったときの対応は?
 競技規則・第13条「フォルト」として、
「第5項 プレーヤーが第16条の違反行為をはなはだしく行ったり、繰り返したり、また、それらを継続してやめないとき。」とある。
 今回のような例は希(まれ)ではあるが、実際に起こったときには冷静に対応手できるようにしておこう。
 最近は、中継の試合中でも、ダブルスのラリー中にストリングスが切れた後、コートサイドにある替えのラケットと交換する場面を見ることもある。
コートを離れる場合は、本来であれば主審の許可が必要だが、ラリー中の交換は主審に許可を得る時間がない。コートを離れることは プレーヤー側に不利なことからね主審の許可がなくても例外的に認められていると。
 ただ、ラケットがネットを2本持って入る行為は、競技規則・第16条・第6項(4)「競技規則を超えた不品行または不快な行動」と判断される。
かつて、ラケットを2本持って入ってはいけないと競技規則に示されていないことから、いいのではと解釈する場面もあったが、 BWによる英語で表記された競技規則の原文は、"racket"と単数で表記されていることから、2本以上のラケットでのプレーは、 解釈を大きく超えた不品行な行為に当たるとされる。結果、競技規則・第16条・第6項(4)が適用され、「フォルト」の判定とする。

 他にも、普段あまり起こらないようなアクシデントの対応について触れておくと、
・ラリー中にプレーヤーのシューズが脱げてしまったら・・・・・主審は、何もコールせずにラリーを継続させる。脱げたシューズが相手サイドの エンド内に入るなどの不利な状況にならない限り、主審はラリーを止めない。
 相手サイドのエンド内に入って、相手の注意をそらしたり、そのシューズが著しく相手を妨害したと主審が判断すれば、「フォルト」の判定となる。
・通信機能付きの打て時計によるアクシデント・・・・・時間を確認するだけであれば問題はないが、その腕時計を使って電話やメールを確認する 素振りを見せると、不正行為とみなす。故意でなくても不品行な振る舞いとしてイエローカードの対象となるので注意する。
・試合中に電話の呼び出し音やアラーム音が鳴った場合は、公認審判員規程第5条 第15項(1)が適用され、即イエローカードや レッドカードの対象となる。
<(~_~)バドミントンの競技規則の条文は17条までで、簡潔にまとめられている。野球やゴルフなどのように 時代に合わせてルールが細分化されて、禁止行為も多く記載されているのとは対照的に、ラリー以外の場面で起こりやすい禁止行為は、 「不品行または不快な行動」などで表現されている。
 対応する主審の裁量が大きいので、主審の良識に任されて、自由度が高い競技になっている。

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