実戦ルール(75)モップの要求があったときの対応について
公認審判員規程 第5条 主審への指示事項
第9項E プレーヤーが汗をかき、その汗を払い、散らしたりした場合、またはそれ以外の行為でコートやその周辺を汚している
場合、主審はプレーヤーに対して、そのような行為は決して容認できるものではないことを留意させなければならない <・・以下略・・>と記載されている。
特に、夏場は多量の汗によってウェアが濡れて、その状態で床に飛び込むと床が濡れてしまう。濡れた部分は滑りやすく、ケガ防止のために、モップや
タオルなどで拭くことができる。
今回のポイントは、汗で濡れた床をモップで拭くことを選手が要求する場面。プレー中に飛び込んだ選手がモップを要求、途中から主審は「飛び込んだ行為は、
わざとではないか」と疑って、最終的には選手の要求を断っている。
汗などの対応について、公認審判員規程 第5条第9項Eに、手でふき取った汗を"パッ"と払う行為や飛び込んで床が濡れた(汚れた)ことについての対応が記されている。
床に飛び込む行為と汗の関係性は、必要ならば競技規則・第16条・第7項を適用すると明記され、飛び込む行為で床を汚していると
主審が判断したばあいは、「違反に関する処置」として、警告や反則の対象となる。
ただし、この条文は床を汚す行為にタイしてなので、プレー中に飛び込むことがダメだというわけではない。ポイントになるのは、"飛び込む行為が故意であったかどうか"
ちいう点だ。プレーの中で飛び込む必要性があったと主審が判断すれば、特に問題ないということになる。
しかし、飛び込む必要性を感じない場面で不自然にダイビングし、モップを要求したのであれば、主審は「プレーヤーはどんなことがあっても、体力や息切れを
回復できるように、または、アドバイスを受けるためにプレーを遅らせてはならない」(競技規則・第16条・第4項 プレーの遅延)を考える必要がある。
モップの時間を明らかに体力回復に当てようとしていると主審が判断すれば、不品行な振る舞いとして 注意や警告をする。
ここで主審が意識したいのは、モップを要求する回数や飛び込む頻度を判断基準にしないこと。見るべきポイントは、"飛び込む必要性が
あったのか、モップをかける必要が本当にあったのかを見極めること"。選手の安全のためには、何度モップをかけても構わないので、時間をかけないよう素早く指示を出して、
円滑に試合を進める意識を忘れないようにしよう。
試合中は選手の汗の状態やウェアの濡れ具合、疲労度を確認し、モップを許可する判断材料にしよう。明らかに床が濡れた場合は、選手からの要求前にモッパーに指示を出しても
構わない。主審の裁量の範囲だ。
選手からのモップの要求を主審が断る場合は、床に落ちた汗を見て判断するのが適切で、モップの必要性がなければ、[足で拭いて下さい」(審判用語3.8.)と指示する。
明らかな時間稼ぎであると判断したのならば、競技規則・第16条・第7項を適用して、注意や警告をすることになる。