実戦ルール(72)線審が判定を変更したときの対応は?
実戦ルール 58 では、「線審が判定できないとき」、71 では「線審が合図を出さなかったときの対応」を述べたが、今回は「線審が判定を変更したときの対応」である。
ここでは競技規則 第17条の審判員の責務と処置すべき訴え
第4項 審判員の判定は、その審判員の責任とするすべての事実に関して最終のものである。・・・とある。
今回のように、線審が判定を下した後に、その判定を変更することは起こりうることだ。通常ならば主審が線審の変更に気づくはずだが、今回は主審がスコアシートに
目を落とした時に線審が判定を変えたことで、トラブルになったと考えられる。
判定の変更について、競技規則や公認審判員規程には "線審が判定を変えてはいけない" というルールはない。線審は自分の担当ラインについて自分の判定が
誤っていると思ったら、すぐに正しい判定に訂正して構わない。競技規則にも「審判員の判定は、その審判員の責任とするすべての事実に関して最終のものである」と
記されているため、線審はできる限り速やかに訂正するのが、正しい対応となる。
今回の例でマズかったのは、主審が、線審の変更に気づかずに試合を進めようとしたときに、選手から判定が変更されたことを指摘された点である。
主審に判定を確認された線審が焦ってしまい、あやふやに「わかりません」と答えてしまったことで、主審も困るし、選手側も不信感を持ってしまう。
線審自身が判定を変更していたので、主審に確認された時に、変更した正しい判定を伝えるべきだった、というのが筋。
このあと、主審はどう対応すれば良いのか。線審が「わからない」と回答した時点で、判定するのは主審になる。[公認審判員規程・
第3条・第8項 ラインの判定(3)}
主審がイン・アウトの判定ができる場合は、主審の責任において判定する。判定が困難だった場合は、「レット」とコールしてやり直しさせることになる。
今回のケースにおいて、「もし線審が明らかに間違ったコールをしたと確信する場合には、線審の判定を変更することができる」[17条・4項(1)]というコレクション・
コールを適用するわけではない。線審が判定不能になったので、間違いを正すのではなく、イン、アウト、レットのいずれかをコールすることになる。
(~_~)主審と線審の意思疎通が大切、線審は主審とアイコンタクトが取れるまで合図を維持するなど、判定の行き違いを防ぐようにしよう。