実戦ルール(55)選手がコートから離れたときの対応は?
 競技規則16条 不品行な振る舞い 第5項、アドバイスとコートを離れることに関して、
(2)プレーヤーは本条第2項のインターバルを除き、マッチ(試合)、主審の許可なしにコートを離れてはならない。
 競技規則には、インターバルを除き、試合中にコート(競技区域)から離れてはいけないと書いてある。普通に試合をしているときは コートから離れることはないと思われるが、突然の腹痛でトイレに行きたくなることもあり得ることだ。
 この場合は主審に説明して許可を得られれば、コートから離れても問題になることはない。また、それ以外の緊急を要することでも 主審から許可をもらえれば、コートから離れても大丈夫だ。
 今回のBの行為は1ゲーム目を終えたインターバル中での出来事だ。競技規則16条・第5項(2)の「本条第2項のインターバルを除き・・・」と 書かれており、その第2項は次のように記されている。
 (1)すべてのゲーム中に、一方のサイドのスコアが11点になったとき、60秒を超えないインターバルを認める。
(2)第1ゲームと第2ゲームの間、第2ゲームと第3ゲームの間に120を超えないインターバルを認める。
 このことからインターバル中は、主審の許可を得なくても、コートを離れてトイレに行ったり、休憩したりしてもよい、ということになる。
今回の飲料水をこぼして着替えに向かったBの行動はルール上は問題ないことになる。ただ、この後の対応はまずかったと判断される。 2分後に戻ってきたBは、ゲーム間に認められたインターバルの120秒を超えたことになるからだ。

 公認審判員規程・第3条・第16項(6)には「インターバル中の『不品行な振る舞い』はゲームの中のそれと同様に処理される」と記されているため、 主審は120秒を超えて戻ってきたBの行動に対して、競技規則16条第4項「プレーの遅延」を適用。注意、またはイエローカードやレッドカードを提示し、 警告やフォルトを与える。
 第1ゲームの中で、すでにBが注意や警告を受けていたのならば、その流れからレッドカードを提示することになる。一方、特に問題がなかったのであれば、 注意、またはイエローカードを提示になるわけだが、その判断材料はBの態度だ。Bが一声「着替えてきます」と主審に伝え、遅れたことに謝罪の意志が 感じられれば「注意」に留め、何も言わずにコートを離れ、遅れたときも平然とした態度が見られたならばイエローカード、場合によってはレッドカードを 提示する。
 今回は、わざと遅れたわけではないにしても、中にはゲームの疲れを回復させるための時間稼ぎとしてコートを離れるケースも 考えられるので、厳しい判断が要求される。
(~_~) なお、ラリー中は基本的にコートから離れてはいけないが、唯一認められているのが「ラケット交換」。
これは主審が許可を与える時間がないこと、交換することがその選手に有利にならないという理由から認められている。

 主審として覚えておこう・・・

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