[1/30 NetNews]☆渡辺の代表内定辞退の裏表!
昨日のスポーツ紙が掲載した『渡辺勇大、日本代表内定辞退!』で世間にざわめきが起こっている。
1月21日にバドミントン協会が2025年度の日本代表を発表したが、そこに渡辺の名前はなかった。
「辞退した選手もいる」としていたが、その一人が渡辺であったことになる。
●この数年、協会は厳しい運営状況にあった。東京五輪前と比べると国からの助成金自体が減っていた。
輪をかけたのが、2022年に発覚した元職員の横領事件だ。それに対するペナルティとしてさらに減額された。
2022年度の赤字に続き、2023年度は大幅な赤字が見込まれるほど追い込まれた。その危機にあって
企業からの寄附や協賛金などが相次ぎ、赤字幅を圧縮し、1億円強の赤字におさえることができた。
とはいえ赤字は赤字だ。2024年度は黒字化を期して予算が組まれた。その結果、強化費は約8億円から約3億円に大幅に削減された。
●その影響は大きかった。昨年6月には前日本代表の朴柱奉ヘッドコーチが、代表合宿が大幅に縮小されたことなどを明かしている。
それでもパリ五輪までは出来得る範囲で強化を図ったが、限られた予算の中で反動は訪れた。
五輪後、選手は自費で海外遠征に出ざるを得ないケースが増えたのだ。
●そして2025年度にあたり、日本代表の枠組みも変わることになった。
主要国際大会に出場するA代表、それ以外のB代表としていたがそのカテゴリー分けを廃止した。
2024年11月に世界ランキング15位以上だった選手を対象とする「トップコミットメントプレーヤー」を新設。
計41名の代表選手中、その対象は全種目合わせて計12名となり、彼らを中心に主要国際大会に派遣されることになった。
また、協会派遣以外の選手は、日本代表選手だとしても自費による派遣となることも明かされた。
●それでも国際大会に出場しなければならない理由
渡辺は所属企業を持たない。同じ自費でも、所属先が負担してくれるのとは異なる。まさに自費で賄うしかないが、おのずと限界もある。だから、辞退する道を選んだという。
「日本代表としての活動は、ユニフォームやプロパティ等様々な制約があります。
目指す指標が不明瞭なままこの制約を受けるならば、遠征費を捻出するために少しでもメディア、
スポンサー露出やスポンサー活動、国内外イベントに参加できるよう、動きやすくしておいた方がよいと考え、
今回は辞退という決断をいたしました。」との渡邉の言葉には説得力がある。
●バドミントン以外にも、企業など所属先の支援あってこそ、という競技は少なくない。
例えばパリ五輪フルーレ女子団体で銅メダルを獲得した宮脇花綸も、海外遠征はたいがい自費であり、
所属先の支援で成立していることを明かしている。
バドミントンもフェンシングも、五輪代表などを目指すにあたって世界ランキングが重要な競技だ。国際大会に参加し続けなければならない競技事情もかかわっている。
●浮き彫りになった「所属先と協会」の抱える課題
もう1つ浮かび上がるのは、所属先の重要性であり、失えばただちに競技生活の続行が困難になるということだ。
かつてスキー・ジャンプの選手や同じ所属先にいた日本代表の監督も支援を打ち切られ、選手はなんとか競技を続けられたが、監督はやめざるを得なかった過去がある。
所属先の存在の大きさがそこにあり、以前から指摘されているとおり、協会がいかに自立した組織として大きくなれるかという課題もあらためて浮き彫りになる。