多様化するバドミントンのプレースタイルは、ラケット、選手の努力によって進化し続けている。
ラリースピードが上がり、激しいフットワークでシャトルを追う時間も増えているが、その素早い動きを生み出すのがバドミントンシューズだ。
近年、機能性が充実し、それに加えて多様なカラーリングでコートを彩る。
ラケットと同様にプレーに大きく影響するシューズだが、これまでどのように変遷を辿り、選手のパフォーマンスを支えているのだろうか−−−。
[バドミントンの特性]
バドミントンは非常にハードな動きが求められる競技。その中でも着地したときのクッション性や、急にストップしたり動き出したりする時のグリップ性が要求される。
しかし、それ以外にも軽さや耐久性、通気性、サポート性といったものもバドミントンシューズに求められている。
多くの幅広い競技のシューズを開発・製造しているミズノにあって、バドミントンシューズの機能性は総合的に高いのだと言う。
「バドミントンシューズの一番の特徴は?」といわれても正直難しく、シューズの性能でいえば、どの機能も優れているのがバドミントンシューズだからだ。
卓球の横の動き、バレーの上下の動きなどが重視されるが、バドミントンは各競技のよさが詰まったシューズだといえる。[ミズノ]
ミズノがバドミントンシューズ事業を始めたのは1981年頃、2つの型を発売している。メッシュのような素材で足を覆い、足裏はゴム素材。見た目もシンプルでな
構造だった。これはバドミントンだけではなく、室内競技のシューズは似たようなモノが多かった。
1980年代中盤、当時、大阪の実業団チームとして国内トップだったサントリーの選手たちがミズノのシューズを履いてプレー。他競技ではすでに知られたミズノの
名前が、バドミントンコートにも浸透し始めた。
[天然皮革を採用]
シャトルの値上がりが激しいように感じる・・・と思っていませんか?
前後左右に速く、大きく動くことが求められるバドミントン。競技レベルが上がれば上がるほど、激しい動きに対応できる耐久性や、細やかなステップを支える機能性が
シューズに求められるようになる。
そんな中、1986年、ミズノはつま先を覆うアッパー部分などに天然皮革を施して耐久性を向上させた。シューズ底のアウトソールの性能も高めたことから、
一般プレーヤーの中でも人気が上がっていった。天然皮革が人工皮革より柔らかいので、足馴染みがよく、フィッティングが評判になった。
天然皮革は人工皮革より高級で、足の感覚が重要なサッカーなどで使われることはあった。サッカーがカンガルー皮を採用していたのに対してバドミントンは牛皮を使用。
競技全般を見ても、自他メーカーを含めて牛皮を使うシューズは珍しいケースだった。
[新構造でクッション性と安定性の両立]
1990年代に入っても、マスタークロスシリーズの人気は続く。この頃には日本を代表する選手にもミズノのシューズを履く選手が増えていった。バドミントンに関しては
後発だったが、長年のノウハウを持ったミズノは他メーカーに負けられない気持ちも強かったようだ。
1997年には、反発性が高いナイロンなどの樹脂で出来た波形のプレート(ミズノウェーブ)をソールに挟むことで、クッション性と安定性を両立したシューズが誕生した。
今も、ミズノウェーブはプレートの構造で衝撃を吸収するクッション性を高め、同時に着地時の安定性も保つことができる、ミズノのシューズの基幹機能となっている。
[様々な商品展開]
この他にも、バドミントンシューズには軽さや耐久性など、その時代に選手が求める機能を追求しながら様々な商品開発を進めている。
軽量化が進む近年のスポーツシューズ。耐久性を損なわずに軽くできる技術も進んでいる。特に最近のバドミントンは試合展開がスピーディーになっているため、
シューズの軽さはプレーにも大きな影響を与える。軽量シューズはある意味で現在のトレンド。軽さへの取り組みは古篭も継続されていくことだろう。
ミズノの新素材を搭載したシューズ。今までにない反発性やクッション性を持っている「ミズノエナジー」は現在、ランニングシューズに採用されている。
今後、バドミントンシューズへの搭載も十分考えられる・・・・。
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