岐阜Bluvicの挑戦[プロクラブ化の経緯]
 今年4月、国内実業団のトップカテゴリーであるS/Jリーグに属している丸杉女子バドミントンブが、 独立運営を行うプロチーム『岐阜Bluvic(ブルヴック)』として活動をスタートさせた。
 岐阜Bluvicには、丸杉の選手として活躍してきた福島由紀や廣田彩花が所属している。同クラブはファンクラブを立ち上げ、 自前の丸杉アリーナではバドミントンスクールを開校している。
 プロクラブ化の理由を、岐阜Bluvicの杉山幸輔社長は、「バドミントンをもっと盛り上げるには、企業スポーツではなく、 クラブチームの方が適しているから」と答えている。
 活動資金の生み出し方を変えることが、競技の活性化と連動する。

日本が経済発展を続けた時代に実業団スポーツの文化は強まった。選手は社員として雇用され、生活が安定する。
チーム活動の費用も会社が組んだ予算を使うのみ。会社が求める以上の活動をすることは難しい。現場も社業と認められない 仕事は避ける。S/Jリーグの観客動員数の少なさが話題に上がるが、チケット収入でチームやリーグの運営を賄っているわけではないので、 当事者は誰も困らない。
競技人気を高めるためには改善が必要だと考える人は多いが、実際に動くのは難しいのが実態だ。
社内を活性化するために存在するチームは、会社の意向がなければ身動きが取れない。岐阜が プロ化できたのは、丸杉の創業一家で取締役でもある杉山社長が主で動いたからで、稀なケースだ。
 実業団チームのデメリットとして、1社の決定だけでチームは消滅しかねない。プロ化することにより、 地域の複数のスポンサーに支えられれば、こうしたチーム消滅のリスクを分散できる。
 プロ化は、よほど人気がなければうまくいかないと考える人は多い。
多くの人がマスメディアを通じてスポーツに触れてきたからだが、現在のプロスポーツの多くは、全国にファンクラブをつくるのではなく、 地元にファンをつくることを重視している。
 地域で勝ちを持てれば、地元を中心に複数の企業からサポートを得ることが可能になる。国や企業などから予算が降りてくる形に 限界が訪れようとしている時代、プロ化によって自営するスタイルが継続的な活動に結びつく--そんな考え方が、日本の スポーツ界に広がっている。
 丸杉から岐阜Bluvicにチーム名を変更、プロクラブ化後、選手が指導するバドミントンスクールを開始した。町のイベントへの参加、 商業施設での競技アピールイベント、老人ホームのほうもんなど、さまざまな活動を行っている。
 プロ野球やサッカーのJリーグ、プロ化したバスケットボールのBリーグ、今秋から新リーグとなったバレーボールは、 ホームチームを応援する地元ファンが主役だ。チーム名から企業名をハズして地域名を押し出すチームなど、地域密着化を進めている。
 バドミントンはホームゲームが少ない、など大きな障壁はあるが、部内マッチや練習試合の公開、冷房の効いたアリーナで、コートマットを使って プレーできる環境を選手とファンが共有できるなどを通じて、これからのバドミントンを盛り上げる試金石になってほしい。
※ チームの拠点は、岐阜市内にある丸杉バドミントンアリーナ。バドミントンコートが6面常設(冷房有り)。 通常の練習、バドミントンスクール開校。
五輪出場選手の福島由紀、廣田彩花に加えて、世界ジュニアを制した平本梨々菜が加入する。

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