五輪に向けたフランス・バドミントン最新事情
 2024年7月に開幕するパリ五輪。このスポーツの祭典のために、フランスでは着々と準備が進んでいる。
特に、5月23日現在のフランスバドミントン連盟の会員数は20万人を超え、初のメダル獲得に向けて大きく期待されている。
日本の会員数は29万5千人だが、フランスの人口が日本の約半分であることから、この数字の重みは大きい。
1907年に初の正式なバドミントンクラブが設立され、その後、連盟も設立されている。第2次世界大戦を挟んで、 公式の連盟が再興するのに長い期間を要した。

バドミントンによる社会的貢献
 バドミントンがオリンピック競技になり、フランス国内では、学校で必修科目として導入されたにもかかわらず、しばらくの間 競技としての知名度は低いままだった。
 20年前までには、多くのフランス人にとってバドミントンは、ビーチや庭で遊ぶスポーツだと思われていた。
 2004年のアテネオリンピック直前、中国代表からフランスに帰化したビ・ホンヤンの登場により、ようやくメディアにも 取り上げられるようになったという。
 2000年代には、2010年のパリでの世界選手権開催など、国際舞台に進出するようになった。
07年からはフランスオープンも開催され、パリの名前がスーパーシリーズのカレンダーにも登場するようになった。この大会は現在、 ワールドツアー(SUPER750)に引き継がれている。
 同様に、フランス代表チームの選手の強化育成も評価されてきている。パリ近郊のヴァンセンヌの森の中にあるINSEP (国立スポーツ研究所)で、他国からも羨ましがられる環境でトレーニングを行っている。
 ここ最近、新しいバドミントン連盟会長が就任し、新しく選出された役員達も、ハイレベルな競技としてのスポーツ の勝ちを高めるだけではなく、社会的な活動にも時間、リソース、そして資金を投入すべくポリシーを共有している。
競技面による躍進
 フランスのバドミントンの競技レベルにおいても、2000年以降、多くの進歩があり、ヨーロッパのバドミントン強豪国のひとつとして 台頭してきた。
 ここ数年、ジュニア世代から成績を上げ始め、特に男子シングルスの成績は著しい。17年にトマ・ジュニア・ポポフ、 18年にアルノー・メルクレ、20年にクリスト・ポポフ、22年にはアレックス・ラニエがヨーロッパ・ジュニア選手権で優勝している。
 団体戦でも、21年にはU15フランス代表が、8ヵ国対抗戦決勝でデンマークを破るなど、実績を上げている。
一方、シニア選手たちは上位大会ではまだ、苦戦が続いているのが現状だ。
 ただし、混合ダブルスのトム・ジケルとデルフィン・デリュウィは世界トップ10に入っており、パリ五輪でのメダル獲得が 大いに期待されている。
 また「四銃士」と呼ばれる選手たち、トマ・ポポフとクリスト・ポポフの男子シングルスと、兄弟で組むダブルス、アルノー・メルクレ、 アレックス・ラニエの4選手の激しいポイント争いも始まっている。
 フランス国内での期待は、すべての種目で出場権を得て、選手たちが自国開催のオリンピックで輝くことだ。
バドミントン競技は、2024年7月27日から8月5日の予定。パリ北部での新設会場(ポルト・ドゥ・ラ・シャベル)で、24年フランスオープンが オリンピックのテストイベントとして3月に行われるスケジュールが決まった。

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