★タカマツの強さ!小椋久美子が徹底分析
金メダルを取れた理由!


●高橋礼華の強さ・・・体のバランス力とスマッシュのコース

 狙ったコースにスマッシュを打ち込めるのは、体のバランスがしっかりしている証拠。体幹の地良さに加えてフットワークがいい。 ダブルスの後衛は左右に振られたり、ハーフ球に跳びついて打ったりしないといけないし、つなぎ球のような守備の球もさばかないといけない。
バランスの良い高橋は、どんな体勢からでもコンスタントに同じ質のスマッシュを繰り出せる。無理せずに球質やコースを変える判断力にも長けているので、 つねに攻撃が安定している。
 高橋のスマッシュは「切れ味が鋭い」というより、ズーンと重く、手元で伸びてくる感覚だ。一発で決めようとせず、前衛の松友に打たせるスマッシュ、 自分から攻めていくスマッシュと打ち分けられる。
さらに相手の特徴を見ながらコースを組み立てているので、海外選手よりパワーが劣っていても頭を使ったスマッシュや攻撃でポイントを奪う。 狙って打てるコントロールの精度と、力の抜き方、タイミングの外し方など、攻撃をトータルで考えると世界一かもしれない。

●松友美佐紀の強さ・・・鋭い読みと前衛からのコースの打ち分け
 前衛はネット前で左右に動くのはもちろん、ちょっと浮いた球やドライブのような速い球にも対応する。松友は鋭い読みでこれらに反応している。 相手のラケットの構え方、使い方、出してくるコースの傾向を読みとる力が優れているので、よいポジションに立てるし、対応できるのだろう。
相手の配球が読めるということは、それだけ早いタッチも可能となる。対戦相手はラリーの体感スピードが他のペアに比べて速く感じるはず。 あれだけ前衛が止めたり幅広く動いてくれたら、後衛にとってはカバーする範囲が小さくなるので体力的にも楽になる。
 松友の前衛のプレーのうまさを技術面でみると、テークバックが小さくてコンパクトなスイングができること。引きが小さくスイングが鋭いので シャトルをピンポイントでとらえられる。相手の速いレシーブにも対応でき、自分の間合いでシャトルを出せるのでネット前に落としたり、プッシュを打ったりと、 その場面で効果的なショット、コースを使い分けることができる。
また、あえてコート奥に打って「崩す」プレーもするので、相手からすると前後に、そして緩急をつけられるので非常にやりにくいはず。

●ダブルス「タカマツ」の強さ・・・スピードの強弱とペアを生かした攻撃
 ダブルスにおけるスピードはショットの速さもあればコンビネーション(2人の動き)の速さもある。タカマツは2人のコンビネーションの速さが抜群で、 そのときの展開や相手ペアの特徴によってスピードを変えることができる。全力でスマッシュを打ってもなかなか決まらない場合は、スピードを上げたり崩す球を 使うことが必要、逆にレシーブが速い球が続けばハーフコースの球や松友が前衛で止めてリズムを変えたりしている。
 ダブルスは2人で戦うわけだが、最終的にポイントを奪うカギを持つのは前衛だ。後衛のスマッシュに頼るペアよりも、やはりネットに近い前衛がしっかり決める ペアが強いダブルスだ。
タカマツは、お互いのプレーを生かそうとする攻撃に徹している。お互いに無理に決め急がないように心がけ、いける場面ではガツンといくが、難しいならペアに決めて もらうような攻撃に切り替える。高橋は松友が決めやすいように、松友は決めきれないなら一度崩して高橋に打ってもらおうと、2人でゲームを作ろうとするペアはやはり強い。

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