★ダブルスポジショニングの理論と分析



ポジショニング、意識している?
 バドミントンのポジショニングは、ダブルスにおけるトップ&バック(以下T&B)やサイド・バイ・サイド(以下SbyS)など、 基本のフォーメーションで立つ位置を示す言葉として使われている。
しかし、バドミントンは攻撃と守備の展開がめまぐるしく変わり、一定の位置に長く止まることはほとんどない。そのため 他競技のようにセオリーと呼ばれるポジションは少ない。試合の中で、「何となく」の動きや立ち位置になっているのが現実だ。
●「打たない選手」はどうするか
 シャトルを今打とうとしている選手が次のポジションを考えるのは難しくとも、「打たない選手」は1〜2秒の時間は生まれるので、 この時間を適切な時間に当ててもよいのではないか。サッカーでいう「オフ・ザ・ボール」のように、自分がどの位置にいるかでレシーブの 成功率やアタックの正確性が変わってくる。
 ここでは効率のよいラリーをするためのポイントを考えてみよう。

前衛の動きに後衛が合わせる(T&B)
 攻撃の隊形として使われるT&B。2人の動く範囲を前と後ろに分け、ローテーションしながら「縦」の形をキープして攻撃を続けていく。
このときのポイントは前衛の動きだ。T&Bは前衛の動きでローテーションの質が変わるといわれる。というのは、自分の意思でポジションが 変えられるのは前衛だからだ。基本的に前衛は、センターを軸に一歩で動ける範囲のサイドをカバーする。
ローテーションで後ろに下がるかどうかの判断も基本的には前衛だ。急に前衛が下がるとぶつかるときがあるが、 本来、後衛が前衛の動きに合わせて適切なポジションをとることが必要。前衛の見える範囲は狭いのに対して、後衛は広く、相手との距離感も つかみやすい。「前衛は自由に動いていいよ」と考えられる後衛はほど、即席ペアでもうまくダブルスの形になる

二等辺三角形をベースに微調整(SbyS)
「守備の基本陣形である(SbyS)。が、2人が横並びのローテーションが正解とは限らない。基本ベースは攻撃選手を頂点にした二等辺三角形。 相手の攻撃するポジション、スタイル、ショットの質(速さや角度)などによって微調節する。
●真ん中を空けすぎないように
 二等辺三角形の面積が大きくなったからといって守備がしやすくなるわけではない。SbySで、センターを空けすぎると当然そのスペースがねらわれる。
守備2人が競り合ったり(ラケットが重なる)、反応が遅れるので、パートナーが見える程度の位置関係が望ましい。

うまいポジションの取り方
●発信と受信の関係をうまくキープ
 2人が動くダブルスだからこそ発信と受信の関係をうまくキープする。発信する情報が多ければパートナーも動きやすくなる。当然ながら動きだけではなく、 言葉でコミュニケーションをとることも重要。この積み重ねがペアとしての成熟度を高める。ラリーが終わったあとやインターバルでポジションの確認を 行って調整していこう。
●前衛は先読みではなく、一手前から
 前衛がうまい人は、あたかも相手のプレーを先読みして動いているように感じるが、そんなに簡単に先読みはできないはず。一手前のプレーを よく見ることで対応がとりやすい。
[例1]ロブを打った相手のフォームが悪い(観察)→コート奥までは返球できない、甘ければ後衛がスマッシュを打つはず(推測1)→ 連続攻撃のチャンス(推測2)→ラケットを上げて少し前へ出よう(行動)
[例2]通常、パートナーは右サイドではフォアでクロスレシーブが多い(傾向)→今日のクロスレシーブは球威が弱い(観察)→ クロスレシーブは相手に打ち込まれるかもしれない(推測)→素早く下がるか、レシーブポジションを少し下げよう(行動)

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