★世界のトレンドはパワープレー
◎世界のトレンド
世界の潮流は、一言で言うと「パワープレー」。男女を問わず、そして種目を問わず 時代はパワープレーに変わっている。
一方、日本選手はスキルが高い選手が多く、そのスキルの高さによって世界で台頭してきた。その高いスキルの筆頭と言えるのが、
世界で一時代を築いた桃田賢斗選手だ。その桃田選手に勝つために、ビクター・アクセルセンやシーユーチー(石宇奇)らがパワープレーで対抗。
その流れが 現在に至る傾向を作ったと言えるだろう。
女子シングルスでも、アン・セヨンは、ラリー型の選手ではあるものの、そのラリーはパワフルなクリアーを主体に押していき、主導権を握る。
また、女子ダブルスでも攻撃スタイルのタンニン(譚寧)/リュウシャンシュ(劉聖書)が圧巻している。
日本や韓国のペアが長いラリーで勝機をうかがうスタイルで存在感を発揮した時期もあったが、やはり攻撃スタイルがトレンドになりつつある。
また、男子ダブルスで昨年、マレーシアが世界上位へ多数のペアを送り出すなど勢いがあったのも、パワープレーに適応したペアが多かったのでないかと
見ることもできる。
奈良岡功大選手のプレースタイルの変化
日本のバドミントンは、やや乗り遅れ感があったが、昨年末の全日本総合での男子シングルス 奈良岡選手。これまでの守備的なスタイルから、
より多くアタックを取り入れた攻撃的なスタイルへのチェンジを展開。世界のトレンドに近づけ、より上を目指そうという思いが伝わってきた。
それは、スキルやディフェンスで勝負していた桃田選手も同様で、比較的スマッシュを打っていたという印象につながるものがある。
●スマッシュを打つ効果
スマッシュが武器ではない選手も、なぜそうしたアタックが必要なのか。
第1に、相手の動く量を増やし、体力を消耗させること。第2に、相手に「次はここに来るかもしれない」と意識させるエリアを増やすことで、
後手に回させ、相手により低い位置でシャトルを取らせ、自分が有利にラリー展開することにつなげる。
下図のように、スマッシュなしでラリーを続けた場合、相手を前後を動かすことになる(縦の重心)。ある程度は消耗させることはできるが、慣れてくると対応されやすい。

そこにスマッシュが加わると、左右という選択肢も増えるので、相手は横の重心で構えなければならない。(図2)

相手にそのアクションを加えさせることで、消耗度はかなり大きくなる。さらに、そこで相手の予測を外したシャトルを出せば、シャトルに対しての
反応を遅らせることも可能になる。
●プレースタイル移行の鍵
ラリー型の奈良岡選手は、ワールドツアーで戦う中で、これまでどうしても長い試合になることが多かった。相手コートへの前後への配球だけでは、
相手が奈良岡選手に慣れ、さらに相手が攻撃型の選手であれば、奈良岡選手側が横重心の待球姿勢をとらされるため、よりスタミナを消耗することになる。
こうしたスタイルチェンジをした際に、戸惑うポイントは「シャトルへの入り方の部分」が一つあるのではないか。
いいスマッシュを打つためにはしっかりシャトルの後方まで下がって、しっかり下に入る。
つなぎのショットを打つときとはシャトルへの入り方が違ってくる。それまでプレーしてきた入り方では、重心が後ろに引っ張られてしまう。
そこから前へ動こうとしたら、自分で推進力を生み出すしかない。この場面でどうしてもスタミナをロスしてしまう、その調整がなかなかかみ合わないのは
確かだ。
●アタックでスピードも上がる
アタックは体力的な負荷が大きいのは確かだが、一方で、アタックすることで自然にスピードを上げることができ、スタミナロスを防ぐ
という効率的な側面もある。コート奥から思いきりスマッシュを打って、その勢いを使うと、スピードに乗って、前方へと走れる。
余分の力は必要なしで・・・。
逆に、つなぎのショットをあと、重心が後ろにある状態から前方に走るには、自分でエネルギーを生み出して走る必要がある。
これは、かなり体力を使う。
ラウンドからクロスカットを打った場面をイメージすると、相手はネット前にヘアピンを返す可能性が高い。
自分は、コート奥で体がコートサイドへと流れた態勢から、逆サイドのクロスへと長い距離を走らなければならない。これはかなりスタミナのロスだ。
そう考えると、アタックが一概にスタミナを削るとは言えない。勝負を左右するような、ここぞという場面では「積極的に攻める」。
それにより、自然とスピードが上がり、展開を優位に持ち込むことができる・・・。
もともと攻撃を得意としている選手は、自分のプレースタイルの中で自然にできている部分もあるが、スキルやディフェンスで勝負する選手も、
プレーのレベルを上げる中で、やはり取り組んでいくべき部分だろう。相手を前後だけではなく、横に動かすことで、自分の次のショットの精度が
上がり、より自分のプレーの意図を効かせやすくなる。
(^_^)バドミントンにおけるパワープレーは「筋力をつけろ」という意味ではない。大事なのは、コートに中で
いかにトライできるか。当然、フィジカルダメージは大きくなるので、フィジカルケアが大切になる。
石宇奇選手が、どんな試合の後も、トレーニングをしてからホテルに帰る ということから、筋力アップというよりは、疲労を残さないためのケアという
意味合いが強いのではないか。トレーニングは継続しないと筋力が落ちていくので、ダメージをケアするとともに、筋力を落とさないということが大切だ。