トッププレーヤーの技と戦い方

"低空戦"はダブルスだけではない
 男子シングルスについて、最近の上位大会ではドライブを駆使したスピード展開がトレンドになっているようだ。
 ボディ周りのドライブ戦は男子ダブルスの印象が強いが、近年の多くの男子シングルスはドライブ戦に持ち込む選手が増えている。
これは、スマッシュを打って、チャンスが返ってきたらプッシュを打つというパターンを想定している。が、決まらないで奥に返球された場合などは 失点のリスクも伴うことから、そのリスクをできるだけ避ける戦術をとっているようだ。
シングルスでの効果的なドライブの使い方
 ドライブをうまく使っている印象では、クランビット・ビティサラン(タイ)やラクシュャ・セン(インド)、林俊易(台湾)ら若手選手だけでなく、 アンソニー・ギンティン(インドネシア)などタッチが早い選手もドライブをうまく使っている。
●ラクシュャ・センのフォアハンドドライブ
前へ詰めながら高い位置で返球。ネット前にも落とせるが、振り切って長めの球足に!


●アンソニー・ギンティンのフバックハンドドライブ
プッシュくらいの、強く鋭く振り切ったドライブ


 男子シングルスにおいてドライブ戦が好まれるようになっている要因には、一発のスマッシュで決まりにくくなっているという流れが大きい。
 また、ネット際の攻防においても、長めに低くシャトルを出して、隙を与えないという考え。長めのドライブがくると、 相手はそれに対してネット際にきっちり落とすのは難しい。
無理にネット際に落とそうとすると、山なりの甘い球になる。そうした展開では、相手も長めのショットを選択することが多く、 いわゆる"低空戦"とよばれるドライブ戦になることが多い。
 ドライブを強く、長く押し込めれば、それをリターンする相手は押し込まれ、体の前方でシャトルをとらえることは難しくなる。
手を伸ばして体の横や後方でシャトルをとらえると、強い球は返球できなくて、結果的に返球の軌道は山なりに浮いてくる。
この甘く返ってきたシャトルをしっかりネット際に落とせば、相手は上げるしかなくなる。つまり、ドライブで先に押し込んだ方が より優位に立つことができる。
 また、ハーフスマッシュで攻めて相手の体勢を少し崩した後、相手から返ってきたやや長めのレシーブに、強いドライブでさらに攻め込む。
プッシュを打てる体勢でなくても攻撃を続け、優位な体勢をキープすることができる。
 相手の攻めパターン。相手が長めのつなぎのカットを打ってきたケースで、ヘアピンでネット際に返球することも可能だが、それを読んだ 相手は前に詰めて次をねらってくる。そのようなとき、ヘアピンではなく、直線的なドライブを長めに打って、劣勢気味のラリー展開を リセットし、もう一度組み立て直すという使い方もできる。
 ドライブ戦では、ドライブを打ったあとに前に出るという動きが出てくるので、ドライブの打ち合いの中から 後ろに上げるという選択肢も出てくる。
もちろん、ドライブ一辺倒では相手にも読まれるので、その中での駆け引きも重要になってくる。

3手先を想定して ラリーを優位に
 ドライブはスマッシュやプッシュのようにポイントにつながる即効性はない。「次の次の次」を想定するくらいのイメージ。3手先 くらいで得点シーンをつくるつもりで使おう。
スマッシュやカット、ヘアピンなどの多彩なショットを駆使してチャンスメークする。そこにドライブも加えよう。 日によってネットショットが不調なとき、ドライブからの展開が選択肢にあれば、別な戦い方もできる・・・ということ。

ドライブを磨く練習法
●全面ドライブで打ち合う
(1)両方あるいは片方だけ「後ろなし」で打ち合う。
(2)両方あるいは片方だけ「前なし&後ろなし」で打ち合う。
(3)「片方のプレーヤーはロブを上げてもよい」
(4)ロブに対してはスマッシュを打ち、それ以外はドライブ」
など、いろいろアレンジしてドライブのスキルを上げていこう。
(^_^)

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