★ダブルスで勝てない「3つの原因」
  [福井剛士(元日本ユニシス)のダブルス論]

 ダブルスが苦手とか、なかなか勝てない人の多くは、
・ローテーションがスムーズに行かない
・フォーメーションが分からない
・ペアとの息が合わない
・攻められると、そこから切り返せない(しのぎ切れない)
・後衛→前衛への連携が上手くいかない
・予測と判断が難しい
・サービスレシーブでしか攻めることができない(サービスの時は受け身になりがち)
・攻めているにも関わらず、なかなか勝てない
などなど、例を挙げればきりがないかもしれない。
 けれども、悩みの根底のあるのはただ1つ「勝ちたい」という、その一つだけ。これを実現するために原因を探ってみよう!


(1)勝てない3つの原因
 ダブルスで勝つためには何が必要なのか、それは
@相手よりも先に攻撃を仕掛けること
Aそして、その攻撃を止められないようにすること。
 先に攻撃を仕掛け、攻撃を止めないようにするためには、次の3つを見直してみよう。
【原因:1】ダブルスの「ポジション」があいまい
 ショット、フットワーク、ローテーション以上に、ダブルスで攻めるためにはとても重要な武器となるのが「どこへ打つか?」とか「どうやって打つか?」ではなく、 「どこで打つか?」という「ポジション」だ。

【原因:2】ダブルスでの「配球」があいまい
 相手の弱点を狙い、ポイントを獲る競技なのでコースを狙って打つことは当たり前。しかし、その先をどこまで予測し、二人で攻めることができているか?
強い相手になればなるほどラリーが続くように、ただ“コースに狙って打つ”ではポイントに繋がらない。ダブルスで重要なのは「どうやって仕留めるか?」から逆算して、 配球しなくてはいけない。つまり、ワナを仕掛け、エサをまく。配球を使って相手と返球をコントロールしてこそ、ローテーションも上手くいき、 今まで練習してきたショットが決まる状況が整うわけだ。

【原因:3】ダブルスでの「パターン」があいまい
 バドミントンは球技最速のスポーツともいわれており、素早く反応し、次の準備を速くすることが求められる。
だが、ダブルスで勝ち続ける選手たちは全員が反射神経がずば抜けていいとも限らず、また動体視力が優れているとも限らない。 では、何が違うのかというと…ダブルスの攻めと守りの「パターン」を知っているかどうかということ。
「ここに打てば、あそこに返ってくるな…」「この展開は、ここに打ってくるんだよな…」「相手はこのポジションだから、弱点はここだな…」 「ここに打てばローテーションに穴ができやすいから、あそこを攻めるべきだな…」というように、ダブルスの「パターン」を知っているかどうかの差なのだ。



(2)福井剛士の攻め続ける戦術
●3球目の返球について
3球目の返球によってオフェンスになるのかディフェンスになるのか左右される。
サービスの返球は「ハーフ」か「プッシュで突いてくる」ことが多い。「ハーフ」に返球された球は、ストレートでもバック(クロス)でも相手のフォアのハーフに返すのが基本。 ハーフに沈めることで相手は下から打つことになり、浮いた球から自分たちの攻撃に繋ぐことが出来るためだ。

●前衛はネット前に詰めすぎるな
 自分たちの取る範囲を明確にすることによって、スムーズにローテーションを行うことができる。
オフェンスのときに自分のペア(後衛)がフォア側で攻撃する際に、前衛が前に入りすぎると、反対サイドの後方が取れなくなるので、前衛は少し後ろ側に立つ。 そうすることで、前衛が前(ネット付近)とペアの居る反対側の後ろの3点がカバーできる。後衛はストレートの攻撃に専念できる。
 自分たちがバック側でストレート攻撃する際に、前衛が少し後ろ側に立つと、ハーフの返球に対応でき、ネット付近を合わせてカバーできることで、 後衛はクロスに返球されたドライブをフォアに移動してストレートの攻撃を続けて打ち込める。

●後衛が後ろから一気に攻める
 右サイドから相手のバック側をねらったスマッシュを打った後、後衛は一気に前に詰めることによって、前衛は左後ろに少しポジションを移動することができる。
後衛から前に詰めた後は、ハーフに返球された球をクロスに返す(スマッシュまたはプッシュする)。ここで前後が入れ替わるローテーションもできる。

 「後衛のスマッシュ+(浮いた球を)前衛が決める」というパターンとともにこの方法を混ぜることで、攻撃のバリエーションが増える。
●ディフェンスの返球場所は
 ディフェンスの返球時の配球には「危険ゾーン」と「安全ゾーン」がある。
 相手ラウンド(バック奥)からストレートにスマッシュを打たれたとき(自分たちのフォア側)、相手の前衛はストレートに返されるハーフをねらっている[危険ゾーン]。 そのため、ネット前かクロス側の半面が安全ゾーンなる。
ポイントは、相手が攻撃をするときには、どこに返球するかを決めておいて、ポジションと構えを取っておくことが重要で、打たれてあわてて返球すると 何気なく危険なハーフ球を返してしまうことになる。


 相手のフォア側からの攻撃に対しては、「ストレートの前からハーフ」が安全ゾーンになる。クロス側に返球してしまうと、相手の前衛が張っているので つかまってしまう[危険ゾーン]。ただ、相手後衛が前に詰めてくる場合もあるので、浮かさないように注意を払う。逆に詰めてくると奥が空いてくるので チャンスがやってくる。

●ディフェンスの攻撃的ポジショニングは
 相手ラウンド(バック奥)からのディフェンスでは、思い切って右側の選手がサイドライン側に寄ってバックハンドで返球準備をすると間を抜かれる危険も 減る。パートナーも若干右へポジショニングを取る。一番奥からのスマッシュは滅多にクロスへは来ない
ので大丈夫。
 相手のフォア側からのスマッシュレシーブに対しては端まで寄る必要はない。手を伸ばしてバックハンドで触ることができる位置に立つ。 クロス側の右側の選手は、ペアよりも半歩前にポジションを取ることで、センターライン方向に返された球に早く触ることができる。

 ディフェンスは、あくまでも攻撃のためのつなぎ球と意識する。
 前項目の「ディフェンスの返球時の配球での安全ゾーン」の一つ、相手ラウンド(バック奥)からのストレート・スマッシュを"ネット前"に繋いで、 返球した人は前衛に入ってトップ&バックの形に持ち込むことができる。[@]
 ストレート・スマッシュをもう一つの安全ゾーンであるクロスに返球した場合も、返球した人がクロス前に入ってトップ&バックの形に持ち込むことができる。[A]


 相手のフォア側からの攻撃に対しては、ストレートの前へ繋いで返球した人は、2〜3回ストレートラリーが続く可能性がある。ただ、返球した人が前に入るのではなく、 隙を見てペア(右側)が前衛に入ってトップ&バックの形に持ち込むことになる。
後衛(左側)が前に出てしまうとラウンド側奥が空いてしまうのでダメ。

(^_^)

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