★バドミントン温故知新
苦しい場面での打ち方は昔も今も変わらない
道具の進化、ルールの改定もあり、バドミントンは技術も戦術も遂げてきた。その中でも昔から変わらない技術、必要な基本もある。
技術の変化はラケットの進化に選手が対応した結果、プレーや戦術的な変化はラリーポイント制にルールが変わったことなどによるが、
苦しい場面での打ち方は昔も今も変わらない。
ラケットの進化で、上から打つオーバーヘッドのショットは体をしっかりシャトルの下に入れなくてもラケットの力で返せてしまう。そのため、
どちらかというと、小手先の技術が重要視されるようになっている。ただし、下からシャトルをすくうような苦しい場面でのショットは昔も今も変わらない。
以前のサービスポイント制では、サービス権があれば1回のミスは失点にならないので大胆に攻めることが出来たが、現在のラリーポイント制では
一か八かのギャンブル的な勝負はしにくくなったのは確かだ。そういう意味では、ディフェンシブな選手やディフェンスが得意なオールラウンドの選手が有利といえよう。
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ショートスイングと大きなフォロースルーを使い分ける
ラケットの素材やテクノロジーの進化で、最新のバドミントンでは小さなスイングでシャトルを打つことができるようになっている。
ただし、追い込まれた場面で打つロブは、ラケットを下から上へとフォロースルーを十分に行う打ち方が必要になる。その点では昔も今も変わりはない。
[桃田選手の例] 高い位置でとらえるロブはコンパクトなスイングで、ネット前に返すか、コート奥に返すか、相手に読ませないようにしている。
一方、追い込まれてシャトルを低い位置で取らざるを得ない時は、ラケットを下から上へスイングし、十分なフォロースルーを行っている。
床ギリギリで取らざるを得ない時にショートスイング(短いスイング)で打つとネットのリスクが大きくなるからだ。
※ラケットの進化でショットのスイングスピードが上がり、全体的にはコンパクトなスイングで打つことが増えているが、レベルが上がる中で勝つには、
「昔ながら」の基本を忘れないことも大切だ。
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低く速く打つレシーブと、大きくフォロースルーをとるレシーブ
ダブルスで、差し込まれた時のレシーブは時代を経ても変わらない。前項と同じく、差し込まれて苦しい状況なら、シャトルをとらえた後のフォロースルーを十分にとって
シャトルを大きく返す。
近年のダブルスは高速化しており、レシーブにおいても低く、速く返すことが多くなっている。その究極は世界ランク1位のギデオン/スカムルヨ(インドネシア)や
園田啓吾/嘉村健士らが得意とするノーロブスタイル。そこでも相手のショットに差し込まれた時にはショートスイングでは返すことが難しくなり、
ラケットを引いてシャトルをとらえる分、フォロースルーも大きくとり、球負けしないようにすることが必要になる。
これらの昔ながらのレシーブの基本は、現在でも必要な打ち方であり、うまく使い分けることでプレーのバリエーションが広がり、劣勢でも勝利を引き寄せる
糸口になるものだ。
[遠藤大由選手の例]
低く速く打つレシーブ。コンパクトにラケットをさばく。
ボディやサイドでのレシーブで、相手の球に差し込まれた時は、フォロースルーも大きくとり、球負けしないようにする。
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速いカットとともに緩く短いカットを使い分ける
スマッシュをはじめオーパヘッドのショットに関しては、ラケットの進化がショットのパワーアップやスピードアップに大きく貢献している。かつては
体をしっかりと入れて打たないといけないと言われてきたが、現在では体がうまくシャトルの下に入っていなくても、ラケットのパワーでシャトルを飛ばすことが
できてしまう。
ラケットの進化でスイングスピードが上がり、スマッシュだけではなくカットもスピードのある「速いカット」が主流である。
そんな中で注目したいのは「ゆっくりとした短いカット」。速いカットは球足が長くなり相手の動きが短く、相手からの返球も早くなる。
そうすると、それはリスクが大きく、自分のスキルを上げることが要求される。
そこで、ゆっくりした短いカット(ドロップ)を使うのも有効になる。相手をより動かすことができ、シャトルを下でとらせることができる。
桃田選手や遠藤選手、奥原選手らがゆっくりした短いカットをうまく使っている。速いカットと組み合わせることでプレーのバリエーションが広がる。
対人競技のバドミントンは、相手の意図や出方を読んで、自分との力関係をはかりながら、戦術を変えて戦うことを意識しよう。
(^_^)温故知新.....!!