●ポジティブなミスの考え方
ラリー中のミスは失点につながる。ネットにかけるミスや、アウトはもちろん、相手のチャンス球になるような返球もミスといってよい。
そこで考えるべきは、そのミスが自分と相手にとってどういう影響を与えているのか、ということだ。どうしてもミスをした事実に意識がいきがちだが、
次のプレーに生かすのであれば、そのミスの意味や影響を考えてみよう。
ミスを考察する例として"フォア奥からのスマッシュを打つ状況"を想定してみよう。攻撃のセオリーとしては、ストレートスマッシュだが、どんなに速い
球を打てても、相手に"ストレートしかない"と思われたら、当然レシーブされてしまう。そうなると、空いている逆サイドへのクロスをねらうことになるが、
一発で決まるスマッシュを打つのは非常に難しい。ライン際をねらえばサイドアウトの可能性が大きく、センター側に甘く入ればカウンターをくらったり、
ネット前に落とされて苦しい状況に追い込まれる。
ここで考えるのは、ミスを怖がってクロスを避けるのか、それとも多少のリスクを犯してでも打っていくのか!
準備が整った上で打つのであれば、結果的にミスで終わっても、それは"意味のあるミス"だと評価できる。
もし、クロスに打ったことで、ストレートを待っていた対戦相手は「クロスもあるのか」と思うはず。失点しても、次のラリーで再びフォア奥から攻撃する場面がくれば、
対戦相手は頭の中に「次はストレート?それともクロス?」という迷いが生まれ、動きを一瞬遅らせることや、判断ミスを誘うことにもつながる。
スマッシュに限らず、相手に「さこからそんな球も打つのか」と思わせるショットやコースへのチャレンジは、たとえミスになっても打っていくべきではないだろうか。
目的のあるミスは、ポジティブに捉えていこう。ただし、ミスによる失点が試合結果に大きく影響する場面では使わない。チャレンジするのは、試合の前半や
点数に余裕がある時だ。準備ができていない状況でガムシャラに打ったり、一か八かで打つのも避けなければならない。ミスが即、失点になることに変わりはないので、
ねらうタイミングには注意が必要である。
●ミスを振り返る時間を作る
ポジティブなミスとは逆の、悪いミスについても確認しよう。
前述の通り、打つ前の準備不足から生まれるミスは、次のプレーにプラスには働かない。高校生の試合でよく見られるのは、ラリー中のつなぎ球や
主導権を取り合う場面で、シャトルに対してしっかり体を寄せず、手打ちで返してやられるシーンだ。[思い当たる人も多いハズ]
簡単なプレーを簡単にミスすることで生まれる焦りが、さらなるミスにつながる。
勝てる選手と勝てない選手の差は、こういったプレーに出てくるのではないだろうか。強い選手は、どのようなプレーでも体を寄せる、足を入れて打つということを、
当たり前のように行っている。だから、ミスをしても引きずることはないのだ。
一方で、つなぎ球などをミスする選手は、その後にライン際や四隅に揺さぶられることが増えると、さらに焦って自分のプレーができなくなる。ミスの状況をイメージして
立て直すことが出来なければ、ズルズルと失点を重ねてしまうことになる。試合が終わっても、「相手のスマッシュにやられた」とか
「自分のミスが多かった」など抽象的な敗因しか振り返ることができず、次の課題を見つけるのにも苦労する。 そういう選手は、また次の試合でも同じようなミス
を繰り返すので、なかなか勝てなくなる。
バドミントンは対人競技なので、対戦相手を考えながらプレーすることが大切だ。試合中にミスを修正できれば理想だが、それは普段の練習から取り組んでいなければムリな話し。いきなりやろうとしても難しいので、まずは基礎打ちやパターン練習、ゲーム練習のときに、相手のリアクションや表情を見る習慣をつけることから始めてもよい。
ミスをただミスで終わらせるのではなく、自分にどうプラスで、相手にどうマイナスなのかを考えて、意味のあるミスにすることを心がけよう。
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