選手の思うメンタルの強さとは [2]
対人競技であるバドミントンには、ネットの向こう側にいる相手だけではなく、自分自身との戦いにも勝たなければならない。
そこで大事になってくるのが「メンタル」の強さだ。勝ち負けが決まる重要な場面、絶対にポイントを取られてはいけない場面などで、どれだけ
自分の力を発揮できるか、つまり「勝負強さ」というものだ。
[2]ではケース別の心構えについてみていこう。
§3.選手の立場からの「ケース別の心構え」は
●権藤公平:ジェイテクト所属
[ケース:1] 第1ゲームを終えた後の考え方・・・話す内容は短くシンプルに!
第1ゲームを落としたとき、もしこちらがミスをしてばかりならば、第2ゲームはいかにミスを減らすかを考える。しかし、自分たちの調子も悪くなかったのに
も関わらず、相手がそれを上回っていたのならばパートナーと作戦を考える。このとき、「この場面では落とすだけ」とか「ここに打ったら、こっちに入って欲しい」
など、動きやコースの事だけにして、多くを長々と話しているとパニックになる可能性があるので、必要最低限のことを確認する。インターバルのアドバイスでも
すぐできそうなことを取り入れて、難しいことは余裕ができてからやってみようという感覚で行くようにする。
第1ゲームを取ったとき、勢いでそのまま第2ゲームもそのままいけるという精神状態になってしまいがち。そこで、相手がしっかり対策を練ってきたときには焦ってしまうことになる。勢いだけではなく、一度冷静になって組み立て直すことが特に重要になってくる。
[ケース:2] ファイナルゲームの戦い方・・・相手に意識を向けることも必要
ファイナルゲームまでもつれた場合、自分もパートナーも或る程度やることはわかっているので、焦らずにじっくりとラリーするすることを心がけていく。
特に簡単なミスが焦りにつながるので、ミスをしないことが大事だ。
ファイナルゲームは常に冷静にいられるかどうかが重要で、
冷静さを保ち、考えて動き続けられていれば状況を打開できるチャンスは巡ってくる。
そのためには、試合中に自分たちの動きを気にするのではなく、相手を見ることが必要だ。自分たちの調子が悪くないのに相手に追いつかれているときは、ともすれば
自分たちのことしか考えられていないもの、そうすると少しのミスもネガティブになってしまうもの。
そこで相手を見ておけば、クセや空いているコースを見つけられる。視点を変えればネガティブな発想を抑えながら、勝つための発想も浮かんでくる。これは試合中に
弱気にならないためにも大切なこと。
●小野菜保:再春館製薬所所属
[ケース:1] 点差が離れずに試合が進んだ場合・・・スコアが競っているときほどシンプルな思考を!
ゲーム後半の緊迫した場面のときは、ミスをした方が負けることが多い。そこでダブルスの時、パートナーを含めた4人の中で、自分が最初にミスをしないように
心がけている。いいコースをねらって一発で決めようとするとミスになることも多い、早く決めたいとの思いは緊張感から解放されたい気持ちの表れ。
競った場面ではどんな球でもとにかく返す。たとえ球が浮いたとしても次に走って対応すればいいのだから、焦ってミスするのを
最優先させる。単純なことだが、シンプルに対応していこう!
[ケース:2] ファイナルゲームの戦い方・・・パートナーが緊張していたら和らげることも意識する
各ゲームの出だしは大切にしたい。とくにファイナルゲームでは、試合が進むにつれて、パートナーの顔が変わっててきたりして、緊張しているのが伝わってくる場合もある。
そうした場面では「緊張している?」といったように何気なく声をかけるようにしている。沈んだ雰囲気ではなく、緊張感をほぐすように楽しい雰囲気で「大丈夫」
と伝えるかのように...実践してみよう。
●大家夏稀:NTT東日本所属
[ケース:1] 格上・格下の選手と対戦するとき・・・まずは自分の力を出し切ることを大事に!
試合では相手が格上か格下かを考えずにプレーをするようにしている。相手の実力を分析した、自分と比べることは必要だが、コートに入れば自分の力をすべて出し切ることが大事だ。あれこれ迷わずプレーするためには、相手の実力を強く意識せずに戦うことを心がけている。
それでも実力差を意識しないといけないときもあり、注意したいのは「強い選手と戦う」ときだ。気持ちで引かないこと−−。勝ち負けを意識すると気持ちで押されるので、
自分のプレーがどこまで通用するかを考える。その中で「このショットは決まるんだ」「このプレーは通用する」と、ポジティブにとらえる方が気持ち的にも樂。
相手が格下の場合は、自分が追われる緊張感が高まる。ただ、その緊張も試合の中で自然となくなるので、練習でやってきたことを出し切る気持ちが支えになってくれる。
[ケース:2] ファイナルゲームの戦い方・・・2ゲーム目を奪い返した場合、積極的に攻める姿勢を見せる
打1ゲームを取られ、第2ゲームを奪い返した場合は
攻める気持ちを大切にしていこう。第2ゲームを取って安心してしまうと
、プレーが守りに入りがち。相手は気持ちを切り替えて臨んでくるので、スキをねらわれてしまう。序盤から飛ばすのではなく、ラリーの中で積極的に攻撃していく姿勢を見せるのが
有効だ。
ゲーム後半で接戦になると、自分も相手も緊張するものだ。
点数を取ろうと攻め急ぐのではなく、「ミスを恐れない」意識で気持ちで引かないことが大切。
可能であれば、この状況を楽しもうと思えれば..。
(^O^)試合は、日常にはない緊張(スリル)を味わえるので、勝ち負けだけではなく勝負を楽しむという視点ももってバドミントンの魅力を感じよう!