心を強くするヒント [2]
対人競技であるバドミントンには、ネットの向こう側にいる相手だけではなく、自分自身との戦いにも勝たなければならない。
そこで大事になってくるのが「メンタル」の強さだ。勝ち負けが決まる重要な場面、絶対にポイントを取られてはいけない場面などで、どれだけ
自分の力を発揮できるか、つまり「勝負強さ」というものだ。
●古財和輝:龍谷大学監督のメンタル論
§1.メンタル強化につながる練習の取り組み方・・・ メンタル強者に共通するのは、自分を信じ続けられる意志力。
たとえば練習で、教は疲れたからもういいや、と感情に流されて楽をしてしまう。仕方のない面はあるが、試合では苦しくても頑張ろうとするのでは・・・?。
つまりメンタルが弱いといわれる選手は、試合で苦しい場面がくることを想定できていないのではないか。
一方、メンタルが強いとされる選手は、負けた試合などを振り返り、その場面を想定した練習をしたり、練習中に意識することで大きく変わってくる。
単純に試合でミスをしたから、技術練習をたくさんすればよいというというわけでもない。ミス一つでも、技術的なミスだったのか、体力切れからくる
集中力の欠如によるミスだったのか、練習に意識した場面を取り入れなければ、次の試合でもより向上は望めなくなってしまう。
試合中のメンタルは普段の練習の表れなので、試合中にメンタル面の弱さが出るのは、日々の選択の中で自分が逃げた回数や、
楽をしたことをわかっているから不安になるということだろう。
頑張るきっかけは人それぞれだ、その意志の強さは、結果から人と比べられるものではない。どうしても人は他人と比べたくなるが、
負けたから自分がダメだと思わなくてよい。県大会への出場権とか、ベスト16とか、自分が立てた目標に対して頑張れたといえるのであれば、まずそれを褒めるべき。
その回数が増えていけば、"自分はやってきたんだ"という自信につながり、その積み重ねによってメンタルはどんどん強くなっていくハズ。
ライバルや目標を設定することは、日々の選択の中で努力を継続する第一歩になる。目標に向かうということ自体、自分が出来ないことに
チャレンジしている場合がほとんどなので、努力を続けていても手応えはなかなか感じられないが、自分自身を信じ続けられる意志の強さは、メンタルが強い人に共通する
ポイントだ。
[強化メモ]・メンタルが弱い選手はその場の感情に流されやすい・ミスを見つめ直して練習に取り組む選手が強くなる
・目標設定は努力を続けるために必要
§2.コート内での立ち居振る舞い・・・ 冷静に状況判断できる自分を持てる選手。
今の高校生年代の選手でも、あれぐらいの年齢でよくこんなことができるんだ、と技術面で感心させられる。だが、メンタルの部分では「感情を表に出す」選手が
すごく増えた感じがする。
ミスが続いたときに天を仰いだり、「あーっ」と声を出したり、本当に些細なことかもしれないが、そうした行動は自分自身に対して"うまくいっていないんだ"という
暗示をかけてしまっているようにも思える。
また、中学や高校の頃は変なプライドがあって、ミスをしている自分が恥ずかしい、負けてしまう自分を認めたくないといった感情があるもの。そうした感情に対して、
「今日は調子が悪いんだ」というような仕草でごまかすこともあるのでは・・・。そんなことをしても何のプラスにもならないのに。
逆転負けをよくしてしまう選手は、1度の逆転負けがトラウマになっているのかもいれない。自分が優位に立っているのに、たまたま以前の逆転負けと同じスコアになったりすると、
急にフラッシュバックして、今回も負けたらどうしようとメンタルが不安になってしまう。
バドミントンは21点を先に取らなければ勝ちにはならない、最後まで冷静に状況判断できる自分を持っておかねばならない。勝負どころの1点が取れたときに、
今まで出していなかったのに、突如「よっしゃー!」と声を出す。それによって、緊張の糸が切れてしまうことも・・・。また、我慢し続けてリードを奪っていたのに、
勝利が近づいて気持ちが高ぶったことで、強引に攻めて逆転されることもある。最後まで冷静な状況判断をするためには、やはりいろんな
状況に対処する準備ができているかどうかが重要だ。
[強化メモ]・ミス後の行動でメンタルが崩れることも・強い選手はミスをしても心に余裕がある・普段から緊張を意識できれば本番でミスを
修正できる
[心が強くなるヒント]
○
逆転負けで気づかされたメンタルの重要性・・・勝利目前まで来て、相手の打球に対して体を寄せるのを少しサボってしまい、
返球が緩くなったのをきっかけに相手がスマッシュを打ち始めた。相手が最後に開き直ってきているのかと思っていると、試合後に振り返ると、
リードしている自分の球が緩くなっていたために、球の下に入りやすくなっていたためだったことが判明した。
なんでもないプレーが自分の調子を崩すきっかけになることを理解し、メンタルをコントロールすることの重要性に気づいたのは大きなプラスになった。。。。。
(^O^)元気なときにミスの多い人が、試合後半の疲れた場面でミスが減るわけはない。練習だからミスをしてもいいという意識ではなく、
シャトルの下への入り方や踏み込みの雑さなどを、普段から意識して取り組める選手は、緊張した場面でも修正する余裕があるものだ!